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代表 7年前

オランダ代表、低迷の要因。W杯予選敗退の危機…伝統国が囚われた「攻撃サッカー」のジレンマ

text by 中田徹 photo by Getty Images

伝統に囚われた現実。かつての輝きを取り戻すために

アドフォカート
ロシアW杯予選敗退の危機に瀕するオランダ代表はディック・アドフォカート監督と運命をともにするのか…【写真:Getty Images】

 その象徴がMFだ。このポジションにはワイナルドゥム、ストロートマン、クラーセン(エバートン)、フィルヘナ(フェイエノールト)、プレッパー(ブライトン)、ファン・ヒンケル(PSV)といった攻守に真面目な、ダイナミックな動きをする選手がいるものの、クリエイティブなタイプとは言えない。

 彼らを組み合わせても、手数をかけたビルドアップからチャンスメイクはできない。それでもオランダはボールを大事に回そうとするから「右ウィング→右SB→CB→CB→左SB→左ウィング→左SB→CB→CB→右SB→右ウィング」とボールが回り、「オランダのビルドアップはまるで“U字型”だ」という酷評を受けるのである。

 本来、オランダの強みであった後方からのビルドアップは、今や相手にとって読みやすいものであり、敵は虎視眈々とショートカウンターを狙っている。「ホーラント・スホール」のドグマに囚われ、選手の能力に応じた柔軟な戦術を採用できないーー。それが今のオランダ代表だろう。

 オランダ代表史上最高齢の監督は70歳のアドフォカート。2位が68歳だったヒディンク。66歳のファン・ハールには「代表の監督に再々就任して欲しい」という待望論がまだある。サウジアラビアをW杯へ導いた監督、ベルト・ファン・マルワイクが契約を延長しなかったので、ロシアW杯では“オランダ人指揮官ゼロ”という事態も十分ありえる。オランダ代表は「世界で戦える監督の人材難」という難題も解決しなければならない。

 フットボール・インターナショナル誌の編集長、クリスチャーン・ルーシンクはクリスタル・パレスを解雇されたフランク・デ・ブールを「アドフォカート後の新監督」として見ている。しかし、先の代表監督探しで候補に上がったホルヘ・サンパオリ(現アルゼンチン代表)のように、外国のトップ指導者招聘というカンフル剤も今のオランダ代表には必要なのかもしれない。

(取材・文:中田徹)

【了】

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