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日本代表 7年前

【識者の眼】香川真司がハリルJの中心になるために。発揮すべき「影響力」、試みるイメージの共有

text by 河治良幸 photo by Getty Images

香川が改善を意識していた3つの要素

 香川が投入されたのは2-2でむかえた後半14分だった。所属クラブと同じ[4?3?3]のインサイドハーフに入った香川が改善を意識した要素は大きく3つあったようだ。

(1) ボールを速く動かし相手の守備を揺さぶる
(2) 後ろから効果的な縦パスを引き出す
(3) 両サイドバックを高い位置に引き上げ、攻撃の厚みを出す

 この3つをイメージしながらポジションを動かし、ボールを持てば素早く乾や大迫に付けて、動き直して縦に入るというプレーが見られた。

 しかし、そうしたプレーによっても全体の流れを大きく変えることはできなかった。スタートから入っていた選手と途中から投入された選手のビジョンがなかなか共有されず、連動が生まれなかったのだ。

「みんなが攻撃的に行っている分、人数はいますけど、コンビネーションや連動性はやはりなかなか生まれてなかったですし、また後ろからゲームコントロールしながら前に進むって意味でも、なかなかできず、前の選手ももちろんタイミングを合わせづらかった」

 連動性に関して試合後の談話で「香川選手がボールを持った時、前線の選手にもっとフリーのスペースに走ってもらいたい?」という質問が出たが、香川はそれを否定した。「いや、走る必要はないです」と香川。“走る必要がない”の意味はそれが必ずしも連動を意味するものではないということだろう。

「連動性と言うか、何だろう。1対1での関係性しかないから今は。じゃあ(ボールが)入った時にサイドが上がるのか、周りの選手がボールを受ける準備ができているのかとか、そこの準備であったり距離感。前半(の立ち上がり)を見ていてもだいぶいい感じで、できていたところは沢山ありましたけど、後半は停滞していたかなと思う」

 香川が指摘するのは主に組み立てのところだが、前半の途中までとそれ以後、特に2失点してから全体の中でプレーにバラツキが起こり、後半は相手が引いたこともあり、その手前で攻撃がしばらく手詰まりになってしまっていた。

 その中で香川や大迫が投入されたわけだが、その効果を出そうとしていた矢先に逆転ゴールを許してしまい、さらに状況は難しくなった。

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