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Jリーグ 6年前

磐田・中村俊輔、横浜FM戦で託されたキャプテンマーク。3度目の古巣戦で見せた「楽しげな姿」

text by 青木務 photo by Getty Images

平常心が体現された2度の直接FK

試合終了間際は豪雨でボールがなかなか転がらない状況であった
試合終了間際は豪雨でボールがなかなか転がらない状況であった【写真:Getty Images】

 4度あった直接FKを含む計6本のシュートを放つなど、レフティーは違いを生み出している。

 1-1で迎えた51分、PA手前で川又がファウルを受ける。芝生を払いながらスポットにボールを置いた中村俊輔は、レフェリーに壁が近いことアピールする。だが、「主審の方とコミュニケーションは取れていた」という言葉通り、壁との距離に腹を立てるような様子もなく、佐藤隆治主審とのやり取りを終えた。表情には笑みが浮かんでいた。

 川辺と言葉を交わすと、ホイッスルが鳴る。何度か足を踏み込む素振りを見せてタイミングをずらす。駆け引きを楽しんでいるようだった。そして、左足から放たれたボールはジャンプした盟友・中澤佑二の下を通過。GKも間に合わない。しかし、ボールは右ポストの中心にヒットし、ゴールとはならなかった。

 さらに67分、今度は左サイドでFKを得る。中の様子を確認し、そちらに合わせると思わせておいて、意表を突いてニアに蹴り込んだ。相手の心を読んでいるかのように裏をかいたが、これもポストに阻まれた。

 この2つの場面を切り取っても、平常心でプレーしていたことがわかる。心が揺れ動いていたら、こんなにもあっさりと相手の逆は突けないだろう。

 やむことのない雨は、ピッチの至る所に水たまりを作っていた。88分、ルーズボールを拾った中村俊輔は、左足でボールをすくい上げるとリフティングからシュートを放った。厳しいピッチコンディションの中、最後までゴールへ向かうことをやめなかった。

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