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日本代表 6年前

乾貴士がハリルJに与える落ち着き。バルサやレアルと対峙した新10番が挑むブラジル戦

text by 元川悦子 photo by Getty Images

バルサやレアルと対戦。リーガで飛躍的に成長

乾貴士
過去のブラジル戦にも出場し、ラ・リーガではバルサやレアルと対戦するなど経験豊富な乾【写真:Getty Images】

 乾本人は「オーストラリア戦の形が自分としては一番。もちろん引く場面が出てくるとは思いますけど、オーストラリア戦みたいに前からはめられればすごいチャンスが作れるし、そういう戦い方ができれば、日本のレベルはもっと上がってくるんじゃないかと思います」と理想のシナリオを頭に描く。自身の中では準備万端と言っていい。

 上記の中で、過去にブラジル戦出場経験があるのは長谷部と乾の2人だけ。乾は2012年10月の対戦時(ブロツワフ=0-4の黒星)の後半45分間と、2013年コンフェデレーションズカップ初戦(ブラジリア=0-3の敗戦)の後半44分からピッチに立っている。それは大きなアドバンテージになりそうだ。

「ホントに守備の時間が増えると思います。それでも自分たちがボールを持てる時間もあると思うので、そこでどれだけ自分たちが仕掛けていけるのか。守備でもどれだけ積極的に奪いに行けるかもすごい大事になってくるので、引かずにしっかり前に行けるように。難しいけど、チームとしてしっかりチャレンジしていきたい」と彼は言う。

 2度の対戦時は相手の凄まじい迫力を前に受け身になってしまった反省を踏まえ、今回こそ強気の姿勢で真っ向勝負に打って出る構えだ。

 今の乾なら、それが十分できるはず。2012年は当時在籍したフランクフルトで好調を維持していたが、2013年は下降線を辿り、2014年ブラジルワールドカップ行きを逃すという挫折を経験している。自身のパフォーマンスに確固たる自信を持てなかったに違いない。

 しかしながら、2015年8月にエイバルに新天地を求めてからは、左サイドを切り裂く鋭いドリブル、突破力という本来のストロングポイントが前面に出るようになる。

 恒常的に試合に出て、バルセロナやレアル・マドリーといった世界最高峰クラブとの対戦経験を積み重ね、自分の立ち位置を確かめたことでメンタル面も飛躍的に変化。コンディションも大きく改善した。10月22日のレアル戦では2トップの一角に入り、最前線にもトライ。プレーの引き出しを増やして今回の代表に合流している。

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