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ユーベ、バルサ戦で「悪癖」改善の手応え。緊急事態で試みた守備戦術の整備

アッレグリ監督は、「失点の多いユベントス」になることを阻止した。セリエAでユベントスらしからぬ守備が続いていたが、CLバルセロナ戦を無失点で終えている。指揮官が講じた策とは…。(取材・文:神尾光臣)

text by 神尾光臣 photo by Getty Images

セリエAで早くも14失点…。修正急務のイタリア王者

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ユベントスの守護神ジャンルイジ・ブッフォン【写真:Getty Images】

「今夜は結果よりも、どういう姿勢でプレイできるかの方がずっと大事だった。さもなければ、我われはこのまま失点の多いチームになってしまう」

 スコアレスドローに終わったバルセロナ戦の後、ユベントスのマッシミリアーノ・アッレグリ監督は地元メディアにそう語った。勝ち点1確保を狙ってセーフティーに戦い、かつリオネル・メッシを温存させた相手を追い込めなかったことは、CLでの好成績を目標に掲げるチームとしては物足りなく感じる。ただアッレグリ監督の言う通り、このところのユーベには失点癖がついていたのも事実だった。

 リーグ戦では、他の上位陣が失点を総失点を一桁に抑える中で早くも14失点に達した。直前のサンプドリア戦では、なんと3失点。成長著しい若手レジスタのルーカス・トレイラを軸に素晴らしいサッカーを展開する相手に、攻め込んだ後のスペースをことごとく使われて失点を許した。

 そもそもCLグループリーグの第1戦でも、故障者多発という事情が影響したとはいえバルセロナに3失点を許している。建て直しが求められる状況にあって、アッレグリ監督が着手したのは守備戦術の再整備だった。

 まずはシステム。左右両方にサイドバックを使った4-2-3-1から、3-4-2-1へと変えた。昨季においてはシステムの使い分けを頻繁にやっていたユーベだが、今シーズンは攻守両面で仕事ができるサイドバックを使うことにこだわっており、故障者で人がいなければステファノ・ストゥラーロをコンバートさせてまで使うほどだった。だが今回、これをやめた。

 3CBはアンドレア・バルザーリとメディ・ベナティア、そして試合直前にキエッリーニが故障したため若手のダニエレ・ルガーニを起用。ボールを保持していないときには左サイドのアレックス・サンドロが下がり、3CBは右にずれて4バック状にスペースを占有するやり方は昨季も実行されていたもの。だが今回のバルセロナ戦では、右のファン・クアドラードも下がっていた。バルサの左SBリュカ・ディニュを警戒し、そのスペースを消すためだ。

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