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豪州代表監督、衝撃の辞任。W杯半年前に決断した理由と背景…後任は元Jクラブ監督か

オーストラリア代表を4度目のW杯出場に導いたアンジ・ポスタコグルー監督が辞任を表明した。後任には元Jリーグクラブ監督の名前も挙がる。ロシアW杯まであと半年というタイミングでの政権交代にどんな背景があったのだろうか。そして、オーストラリア・サッカーがこの先歩むべき道とは。(取材・文:植松久隆【オーストラリア】)

text by 植松久隆 photo by Getty Images

豪州代表監督、10月から燻っていた辞任の可能性

アンジ・ポスタコグルー
オーストラリア代表のアンジ・ポスタコグルー監督が辞任を表明した【写真:Getty Images】

 11月22日、起き抜けにつけたテレビのニュースはジンバブエの高齢の独裁者の退陣を報じていた。通りに飛び出て、ついに来たその日に喜び踊る民衆の姿をカメラは捉えていた。嬉しそうな彼らを見て、こちらもハッピーな気分にさせられたが、そんな気分も長くは続かなかった。

 頭が回り始めてからの朝一番のメールチェックで、「午前4時10分」という異例の早朝に送られたFFA(オーストラリアフットボール連盟)のプレス・リリースを見つけた。曰く、「本日午前9時、デービッド・ギャロップCEOならびに豪州代表アンジ・ポスタコグルー監督の記者会見に関して」。

 前日に上記2人が長い会談を持ったことは報道で知っていた。となると、このタイミングでの急な記者会見の設定となれば、相当の重大事なはず。留任か辞任のどちらがよりセンセーショナルかと考えれば、重大事が何なのかの答えは明白で、この時、ほぼ悟ったーー「アンジ辞任」が現実となりつつあることを。

 実際、予想は現実のものとなった。9時過ぎ、ちょうど会見が終わるのを見計らって、各メディアが速報で「アンジ・ポスタコグルー監督辞任」を伝えた。詳しい経緯と事情を知らない人にしてみれば、このタイミングでの辞任は何とも寝耳に水だったろう。しかし、この国でフットボールの周辺事情をカバーしていれば、この辞任の可能性を低くは見積もることはなかった。

 10月のシリアとのW杯アジア予選プレーオフの直後、「ポスタコグルー監督、W杯出場決定後に辞任か」の記事が最初に出た時も、ポスタコグルー監督は「今はそういうことを話す時期ではない」としながらも、明確に噂を否定することはなかった。

 監督に近い筋が、彼の苛立ちを代弁することもあった。個人的に親しい現ブリスベン・ロア監督ジョン・アロイジの「ホンジュラスに勝ってW杯出場を決めても辞める可能性は高い」とのメディアでの発言もあった。そんな状況証拠から豪州フットボール界の多くは、「アンジは辞めるだろう」という前提を持ちつつ事の推移を見守った。

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