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Jリーグ 6年前

久保建英がJ1デビュー戦で与えた衝撃。疑いの余地がない才能。課題痛感も掴んだ手応え

text by 後藤勝 photo by Getty Images

「きょう掴めるものは掴めた」

 若さが出たと言うこともできるだろう。ただそれだけに、拙いところが改善されればどのくらいすごい結果を残すのだろうと期待が高まるのもたしかだ。久保の技術はあきらかに突出していて、組織サッカー全盛のこの時代に、最終盤の4分間で、単独でゴール付近に迫るプレーを二回見せた。

 今シーズンの東京で言えばピーター・ウタカが意図して単独突破を試みでもしないかぎりは見られないボール運び。2001年のヴェルディではエジムンドが突出した個人技を披露して決定的なチャンスをつくりゴールを量産していたが、その水準だと言っていい。つまりナイジェリアやブラジルの名手並の圧倒的な技術を久保建英は有している。

 現在の総合的な実力では先発ではなく途中からの出場が妥当であり、もっと成長しないかぎりチャンスがあったとしても活かせない――試合後にミックスゾーンで取材に応じた久保は、現時点での位置をそう認識していた。

 そのうえで言った言葉が「きょう掴めるものは掴めたと思うので、この感覚を失わないように試合に絡んでいけたらいいなと思います」。育成の試合で発揮していたパフォーマンスがJ1に来るとどうなるのか、誰もが固唾を呑んで見守っていたはずだ。結果はご覧のとおり。久保自身も手応えを掴んだことが、上記の言葉ににじんでいる。

 高校生の身分でプロ契約を結んだ経歴では先駆者に当たる髙萩洋次郎も久保の能力を認めていた。

「(久保に言うべきことは)特にないですよ。自由にやってもらえばいいと思う。ボールを持ったらいいプレーをするし、ポジショニングもいいと思うので、別にぼくが何かしてほしいということはない」

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