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「彼に出会えて幸運」。横浜FMのモンバエルツ監督が称える“ボンバー”の存在感

text by 編集部 photo by Getty Images

中澤佑二
中澤佑二は両ひざにテーピングを巻きながらも1年間フル稼働で横浜FMを支えた【写真:Getty Images】

 第97回天皇杯全日本サッカー選手権大会の決勝が1日に行われ、横浜F・マリノスはセレッソ大阪に1-2で敗れてタイトル獲得を逃した。

 延長戦も含めると120分間、中澤佑二は横浜FMのゴールの前で体を張り続けた。今季はもはやお馴染みになったが、この日も両ひざをテーピングでがっちり固定してピッチに登場。終盤には苦悶の表情を浮かべて座り込む場面も見られ満身創痍の状態だったのは明らかだったものの最後まで走り切った。

 今年40歳を迎える中澤は、2018シーズン限りでの現役を引退する可能性が一部メディアで報じられた。かねてより「40歳までは現役でやりたい」と話していた“ハマのボンバー”の守備者としての技術に衰えは見られないが、プレーを見られる時間が残り少なくなっているのは確かだろう。

 そんな中澤について横浜FMのエリク・モンバエルツ監督は、退任前の最後の記者会見で「本当にプロとしてモデルになる選手。彼のような素晴らしい選手に出会えたことが私には幸運だったと思う」と中澤のプロ意識の高さを称賛した。

 2017シーズンもリーグ戦は全試合フルタイム出場で、その記録は4年続いている。また2015年と2017年は一度もイエローカードをもらわなかった。クリーンかつタフな元日本代表の姿は、モンバエルツ監督の目にも頼もしく映っていたようだ。

「彼は1回もトレーニングを休んだことがありません。そして(私が指導した)3年間はリーグ戦ですべての試合に出場しています。特別な存在です。そしてあの年齢(39歳)にもかかわらず、私の要求するプレーするスタイルに適応しようとまだ成長しています」

 やはり中澤はチームにおいて「特別な存在」になっている。だが、現役選手としてプレーするのはあと1年になってしまうかもしれない。モンバエルツ監督はより長くプレーすることを期待しているようで、中澤に3年間の感謝とエールを送った。

「彼は来季を最後の1年と言っていますが、私はもっとできる、もっと続けられるのではないかと思います。ここまでボンバーがマリノスに与えた大きな影響に心からブラボーと言いたい、そして感謝したいと思います」

 モンバエルツ監督は中澤のことを、常に親しみを込めて「ボンバー」と呼んできた。新シーズンは新たな監督の下で戦うことになるが、若手の台頭も進む横浜FMにおいても中澤は特別な存在であり続けるだろう。

(取材・文:舩木渉)

【了】

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