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東京五輪の切り札に? 北欧で奮闘する20歳の“逆輸入”DF世川楓悟の知られざるキャリア

text by カルロス矢吹 photo by Getty Images

スペインからスウェーデン、そしてフィンランドへ

世川楓悟
フィンランド3部ラッペーンランタ時代の世川楓悟【写真:本人提供】

 イギリスでの3年間で自身のプレースタイル、そして卓越した語学力をベースとした海外での処世術を確立した世川は、高校卒業後にスペイン4部クラブ(マル・メノールFC)を経てスウェーデン4部クラブ(アンゲIF)に移籍。プロサッカー選手としてのキャリアがスタートした。

「スウェーデンでは人口3000人の小さな街のクラブで、僕が加入した時にはシーズン半分が経過していたのに勝ち点1しか取れていなくて。コーチもいなくて監督が1人だけ、戦術もロングボールを放り込むだけ、住む場所もワンルームにプエルト・リコ人のチームメイトと一緒。自分1人でジムでのトレーニングや料理をしなきゃいけなくて、あの頃が一番きつかったですね」

 チームはそのまま降格。世川も不完全燃焼のままチームを離れるが、個人でのトレーニングを絶やさなかった甲斐もあってか、昨年始めにフィンランド3部ラッペーンランタのトライアルに合格。これが世川にとって大きな転機となった。

「フィンランド3部って割とロングボール中心なんですけど、ラッペーンランタの監督はしっかり最終ラインからパスを繋ぐサッカーをするんです。後から聞いたんですけど、監督はサイドバックを獲る気は無かったらしいんですよ。ただ、トライアルで僕が良かったから獲得してくれたらしく、すぐスタメンで使ってくれて。

自由にオーバーラップもして良かったんですけど、前半戦は僕が上がったスペースを突かれて失点することが多かった。上がっても、チームメイトから『ラストパスが良くない』って言われていたんです。それが後半戦になってから感覚をつかめてきて、後ろを突かれることもなくなったし、最終的には3ゴール5アシスト。サイドバックとしては多い方ですよね。選手間投票でリーグの最優秀ディフェンダーにも選んでもらえました」

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