湘南・曹監督が見抜いた梅崎司の本音。元日本代表が感じた浦和での葛藤と成長への渇望

2018年02月15日(Thu)10時19分配信

text by 藤江直人 photo Getty Images
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共鳴した梅崎の思いと曹監督の育成哲学

 ベルマーレを率いた2012シーズンから誰に教わるわけでもなく、曹監督も「在籍したすべての選手が、成長したという実感をもってそのシーズンを終えてほしい」というテーマを自らに課してきた。ガスペリーニ監督の言葉を介して、一人の指導者として抱いてきた哲学のような思いが、より揺るぎないものになったと『育成主義』のなかで綴っている。

<現実には不可能だけれども、59歳のガスペリーニ監督は「2、3日でお前たちを上手くする。変えてみせる」という意気込みで日々の練習に臨んでいる。セリエA屈指の育成型クラブの矜持を感じたし、偶然に導かれて出会った選手たちも感謝の思いを抱き、やがては旅立っていくと感じずにはいられなかった。>

 選手を育てて売るというビジネスが確立されているか否かの違いはあるものの、目の前にいる選手たちを成長させたい、と望む指導者の熱意に国境はない。しかも、同じチームでプレーする時間がどんどん短くなるのが世界的な流れであるならば、指導者も育成するスピードを上げなければいけない。

 気持ちも新たに7年目のシーズンへ臨もうとしたときに、梅崎と交渉の席をもった。レッズでのプレーを見ながら、梅崎が自分を押し殺している、チームに徹しようとしていると感じられたからこそ、まだまだ成長できるという檄を込めて「もったいない」という言葉に凝縮させた。

 レッズから受けていた契約延長のオファーに、梅崎はほどなくして断りを入れている。暮れも押し詰まった12月27日にベルマーレ、レッズ両クラブから発表された完全移籍による梅崎の加入を、曹監督はあらためてこう振り返っている。

「ただ単に僕が司のことを知っているから、このチームに来てもらったわけではない。司がこれからどうなりたいのか、どうしたいのか、そして僕がどうしてほしいのかという点が、日本のJリーグの市場のなかで最も一致したというか、そういう思いを共有することができた。

 交渉の席で司はいろいろなことを話してくれたし、言い方は変だけど、僕のほうがそうなのかと学べたことも多かった。その意味でも人と人との出会いというのを大事にしなければいけないし、その延長で司が思っていることに、僕が応えていくことがチームの勝利につながると思っている」

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