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Jリーグ 6年前

横浜FM、ただのリベンジではないC大阪戦。昨季二冠の難敵を正面突破で切り崩す

明治安田生命J1リーグの2018シーズンが開幕を迎える。25日には、横浜F・マリノスがセレッソ大阪のホームに乗り込んで今季の行方を占う重要な一戦が行われる。アンジェ・ポステコグルー新監督を迎えて新たなスタイルの習得に取り組むマリノスが苦杯を舐めた2ヶ月前の雪辱を晴らすべく、昨季二冠の強敵に挑む。だが、これはただの元日の天皇杯決勝のリベンジマッチではない。(取材・文:舩木渉)

text by 舩木渉 photo by Shinya Tanaka

ただのリベンジではない新体制の船出

マリノス
横浜F・マリノスのセレッソ大阪戦に向けた予想スターティングメンバー

 昨季は一度も勝てなかった。横浜F・マリノスはセレッソ大阪と3回対戦し、その全てで敗れている。

 リーグ前半戦ではアウェイで0-2、後半戦はホームで1-4の大敗を喫した。そして元日の天皇杯決勝では、延長戦までもつれながら1-2で敗れ、タイトル獲得をあと一歩のところで逃した。

 そんな両者が、奇しくも新シーズンの開幕戦で再び相対する。昨季カップ戦2つを勝ち取ったC大阪は、今季もJ1優勝候補のひとつに挙げられるなど充実一途。約2ヶ月ぶりの対戦では、継続路線のホームチームに対し、アウェイに乗り込む横浜FMは新戦術の浸透度と実力を測る絶好の機会と捉えている。

 横浜FMのチーム内での競争も、ここにきて激しくなってきた。シーズン開幕前最後のプレシーズンマッチとして17日にFC東京と対戦して0-1で敗れた。翌日に行われた同カードの練習試合では、前日の試合に出場しなかったメンバーが4-3でFC東京を下した。

 この2試合におけるパフォーマンスなども踏まえ、FC東京戦から前線の競争は激しさを増している。25日のC大阪戦では、GKに飯倉大樹、DFは右から松原健、中澤佑二、ミロシュ・デゲネク、山中亮輔、中盤アンカーに喜田拓也、インサイドハーフに中町公祐と天野純、右ウィングに遠藤渓太、左ウィングに新加入のユン・イルロク、そして1トップにウーゴ・ヴィエイラの先発出場が予想される。

 特に新体制への合流が遅れた遠藤とH・ヴィエイラは最近になって調子を上げてきた。17日の試合には出場せず18日の練習試合に回った2人は、前者が1得点、後者がPKを含む2得点と見事に結果を残した。

 H・ヴィエイラは「コンディションは上がってきている」と開幕戦に向けて自信を語った。18日に奪ったヘディングでのゴールは「僕らしい形だった」とご満悦で、相変わらず“点”で合わせて得点を奪う技術はずば抜けている。昨季以上となる「公式戦19得点以上」を目標に掲げるポルトガル人ストライカーの状態は上向きだ。

 アンジェ・ポステコグルー新監督もチームの状態について「進歩している」と手応えを感じており、「もちろん相手は強いチームで、優勝候補と言われているところだが、一番大事なのは開幕戦で自分たちのサッカーを披露できるかどうか」と、結果だけでなく内容のともなった勝利を求めている。

 選手たちも指揮官の言葉に同調する。中町は「このサッカーをどれだけやれるのか。そういう意味で楽しみは正直ある。謙虚さはもちろん大事ですけど、マリノスは(相手のことを)下から見上げるようなチームではないし、どことやっても負けてはいけない」とC大阪戦に向けて気を引き締めた。

 またアンカーとして攻守の鍵を握る喜田も「昨年は(C大阪に)勝てていないので、悔しい思いは持っている。新たな船出でそういう相手と開幕戦で当たって、叩ければ絶対に自信もつく。向こうも自信を持ってくるだろうが、それを上回れるような勢いや自信を持ってやりたい。僕らは間違いなくチャレンジャーだと思うので、全力でぶつかっていきたい」と力強く語った。

 2018年の開幕戦は、ただのC大阪へのリベンジマッチではない。これまで取り組んできたポステコグルー流の新たなフットボールが、優勝候補相手にどこまで通用し、自分たちの現在地はどこにあるのか。そういった現実を見つめるための重要な一戦になる。

(取材・文:舩木渉)

【了】

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