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一瞬を制し組織を破壊するバルサ。CLで「自殺行為」に走る前に…チェルシーが学ぶべきこと

text by 長坂祐樹 photo by Getty Images

ジローナが露呈した戦術の欠陥と限界

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バルセロナはジローナに6-1で圧勝【写真:Getty Images】

 しかし、ジローナの守備にはいくつか構造的な欠陥が見られた。ウイングのプレスに後方のウイングバックが連動しきれないためバルセロナのサイドバックをフリーにしてしまったうえ、2人ボランチが目の前のセルヒオ・ブスケッツとイバン・ラキティッチに対してマンマーク気味に振る舞っていた。そのため中盤に降りてボールを受けようとするルイス・スアレスやリオネル・メッシをフリーにしてしまうなど、バルセロナにビルドアップの“出口”を作られてしまったのである。

 時間が経過しプレスの開始位置を下げたときにも、ジローナはバルセロナに自由を与えてしまっていた。1トップの脇ではラキティッチやブスケッツが自由にボールを受け、サイドのフィリッペ・コウチーニョやウスマン・デンベレが絞ってジローナの2ボランチ脇のスペースにポジションをとることでマークが追いつかなくなり、中央のメッシがフリーでボールをもらうことができた。

 結局、積極的な守備が裏目に出たジローナはあっという間に逆転されてしまう。5分、センターサークル付近でボールを受けたメッシが裏に抜けるスアレスへスルーパスを送ると、狡猾なウルグアイ人ストライカーは冷静にGKとの1対1を制して同点ゴールを奪う。

 30分には、フリーになっていたラキティッチが自陣でパスを受け、裏へ抜けたスアレスにロングパス。最後はメッシが決めてあっさり逆転に成功した。

 その後もメッシが直接フリーキックを沈め、さらに44分には2ボランチの間を巧みに突いたメッシからの展開でスアレスが2ゴール目を上げて前半だけでスコアは4-1となった。連動性を欠いたうえ5-4-1の構造的な欠陥を修正することができなかったことが前半だけで4失点という結果に繋がってしまった。

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