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一瞬を制し組織を破壊するバルサ。CLで「自殺行為」に走る前に…チェルシーが学ぶべきこと

text by 長坂祐樹 photo by Getty Images

リスク管理なき積極的守備も「自殺行為」?

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バルセロナ相手では一瞬の隙も命取り【写真:Getty Images】

 しかし、ジローナはメッシに逆転弾を浴びた後の30分ごろからハイプレス時の守備戦術に変更を加えていた。1トップのロサーノと右のウイングのポルトゥが守備時には2トップのような配置になり、比較的フリーとなっていた両サイドバックには左ウイングのボルハ・ガルシアと右ウイングバックのパブロ・マフェオがマークにつくことで、オールコートでのマンツーマンディフェンスを試みたのだ。より「人」を意識した守備は、ビルドアップの阻害という面で多少機能した。

 それでも後半のコウチーニョやスアレスの得点を含め、6つのゴールを奪われてしまったのは、攻守の切り替えの局面でマークのずれが生じたことや、前線の選手の守備時のポジショニングミスが原因として挙げられる。バルセロナは瞬間的に生まれる優位を活かし、それをゴールにつなげた。

 アントニオ・コンテ監督によって戦術的に規律を与えられたチェルシーの守備は、相手に与える「時間」や「スペース」を最小限にしようとするため、選手個々のポジショニングやアプローチの仕方がより組織的であるという点でジローナのそれとは一線を画す。そもそもセスクの忠告には従わず、アウェイに乗り込む2ndレグも1stレグのようにラインを下げてカウンターを狙うような戦い方で挑む可能性も十分にある。

 だが、チェルシーにとっては、同じようなシステムを採用するジローナの戦いぶりから学ぶべきことがあったはずだ。ジローナはよりリスクを伴うハイプレスやマンツーマンを用いたミドルゾーンでの積極的な守備で首位チーム打倒に挑んだものの、無残な結果に終わった。バルセロナは相手のわずかな隙も見逃さない。そのことをチェルシーは肝に銘じておかなければならないだろう。

(文:長坂祐樹)

【了】

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