安物買いの銭失いよりはドーンと投資してサポート

小西工己社長(右)と風間八宏監督(左)【フットボール批評編集部】
――ブラジルの得点王でMVP、まさに旬の選手ですからね。そこは南米でのトヨタの貢献度があったから獲れたのでしょうか。
小西 トヨタブランドはあったかもしれませんが、コリンチャンスに名古屋グランパスならと信頼していただいたのだろうと思います。コリンチャンスにとってはクラブの宝ですからね。
風間 面白いものを創るときに、「まずは人だよね」という話はJ2が開幕したときからずっとしていました。そういうときでも「無理」とは言われない。普通なら来季がJ1かJ2かで話が変わってくるところが、そんなの関係なく話ができました。
小西 ガブリエル・シャビエル獲得の時もそうでしたが、安物買いの銭失いよりはドーンと投資してサポートしたほうがいいと思っていました。
風間 夏ごろに誰でも知っている選手をあげて、こういう選手が必要ですと取締役会で話したことがあります。最終的には実現しませんでしたが、冗談半分で言ったら本気で動き出してくれました。強化部には「何をバカなことを」と言われましたけどね(笑)。
どうせ例に出すならと思ったわけですが、我々を見ていてくれているからこそ必要なら獲ろうと。緻密なところはものすごく緻密なぶん、大胆さもすごくある。発想の根本が面白いものを創ることなので、可能不可能を考えない。
小西 後で「あの件はどうだったの」と会長に聞かれました。「なくなりました」と言ったら、「必要があればどんどん、やってくれていいんだよ」と。気にしてくれていましたね。
今回のジョーの獲得も大きな投資ですから、監督も私も大きなものを背負ったという意識はあります。背負ったからにはそれが翼になって、どんな重い物でも引っぱり上げる浮力を持たないといけない。
権利と義務は表裏一体ですから。大物獲得という権利を行使したわけですからミッションがつくのは当然のことでもあります。
(対談は1月に実施。(全文は『フットボール批評issue19』にてお楽しみください))
(取材・構成:西部謙司)
【了】
【著者】
風間八宏(名古屋グランパス監督)
西部謙司(ライター)
【書籍内容】
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■「指揮官の戦略」INTERVIEW
・ネルシーニョ(前ヴィッセル神戸監督)
・モンバエルツ(前横浜F・マリノス監督)
・曺貴裁(湘南ベルマーレ監督)
・エスナイデル(ジェフユナイテッド千葉監督)
■【トップ対談】名古屋グランパス
・風間八宏監督×小西工己社長「見たことのない、面白いものを創っていく!」
■「トップの役割」とは何か?
・野々村芳和(北海道コンサドーレ札幌社長)INTERVIEW
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