フットボールチャンネル

Jリーグ 6年前

ジョー獲得の「機動力はさすがでした」。名古屋 “トップ対談”、小西社長×風間監督

text by 西部謙司 photo by Editorial Staff, Getty Images

プリウスの着想につながる風間監督のアプローチ

名古屋グランパスの小西工己社長
名古屋グランパスの小西工己社長【写真:フットボール批評編集部】

小西 ミスの話ですが、足でやっているスポーツなのでミスは当然多くなりますよね。ただ、私は逆に何でもありなのだと思っています。99%の精度があるものを99.8%に上げるのは非常に大変な作業ですが、サッカーにミスが多発するということは、逆に開発の余地が相当大きいということですよね。指導や努力によって青天井に突き抜けていけると思っています。

風間 足でやっているからミスがあっても仕方がないと思われているわけですが、我々は手でやれることは足でやれないはずがないという考えでやっています。それでもミスは起きますよ。だからミスを明確にしなければならない。低い次元のミスではなく、ここまでやれなければミスだよねという基準を作っていく。

小西 風間さんは「センチ」ではなく「ミリ」単位を追求していますけど、そういった考え方を選手たちがインテグレート(統合、共有)していけば、どんどん伸びていくと思います。

小西 プロダクト・アウトとマーケット・インという言葉があります。マーケット・インは市場調査をして売れそうなもの、お客さんが求めるものを提供することですが、プロダクト・アウトはまだお客さんに求められていないものを作り手側が提供していくことです。

 現在の需要がないわけですから最初は売れません。ある意味、作り手側の傲慢さであり自分中心の考えで出す商品ともいえます。例えばプリウスは完全にプロダクト・アウトでした。

 まだ環境への意識もそれほど高まっていない時期に、カローラより50万円も高い車なんて最初は求められていなかったわけです。作り手側が環境にやさしい車を作りたいと思って世に出した車でした。風間さんのサッカーはプロダクト・アウトです。

風間 そういう言葉は知りませんでしたけど、どちらかといえばそっちでしょうね。トヨタがレクサスを作ったのもそうじゃないですか。ヨーロッパでベンツなど高級車が値を下げていた時期に、なんでわざわざ出すのかなと思いましたよ。でも、今では確固たる地位を確立している。

小西 日本人の手で高級車を作りたかったんです。アメリカでレクサスを立ち上げたときは周囲から驚かれましたね。

1 2 3 4

KANZENからのお知らせ

scroll top