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CLの常連だったクラブが2部降格の危機。ビエルサ招聘も狂った歯車…出口見えぬ悪循環

text by 小川由紀子 photo by Getty Images

ビエルサ招聘も結果は…

 そしてプロジェクトの目玉としてロペス氏が招き入れたのが、お騒がせ者だが、一部からの評価は絶大なアルゼンチン人監督、マルセロ・ビエルサ氏だった。

 ビエルサは14-15シーズンにマルセイユを率いて4位という成績をおさめたが、翌シーズン、開幕戦後の会見で突然辞任を発表してクラブを去るという黒歴史をフランスリーグに残している。

 ハマれば結果はついてくるが、トラブルの種にもなる。まさに諸刃の剣であるわけだが、この指揮官をロペス会長は「以前からファンだった」と口説き落として契約にこぎつけた。

 ところが結果は、残念ながら、悪い方に転んでしまった。

 夏のメルカートでは、7000万ユーロというクラブ史上最高額とも言われた軍資金を与えられ、ビエルサ監督は南米を中心に自分好みの選手をリクルートしたのだが、開幕戦で白星をあげた後は勝利から見放され、9月後半には早くも降格圏に突入。その後も上昇の兆しがないと判断したフロントは、状況を見直す間、ビエルサに「一時的に一線から退いてもらう」と通達した。

 しかしビエルサはそれを不服とし、それなら解雇してほしい、と訴えてクラブもそれを承諾した。のだが、これを不当解雇だとして、ビエルサ側はクラブに1800万ユーロの支払いを求める訴訟を起こしている。

 ビエルサは若い選手を中心としたチームを構成したから、「機能するには時間がかかるのは当然だった」と、レキップ紙のリール担当記者も話していた。

 将来を見据えた長期プログラムだったこと、そしてビエルサは元来、自分の戦術にはまる選手だけを使いたいタイプだから、彼にとっては自分を採用した以上、自分のやり方は譲れない、という気持ちだっただろう。

 しかし投資する側には、莫大な資金を投じたのに結果がついてこなければ、何か改善しなくては、という考えが浮上する。フロント内の意見も割れたそうだが、結局は『ビエルサ排除』で方針が固まった。

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