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Jリーグ 6年前

横浜FM、ついに初勝利。浦和戦で「攻撃は最大の防御」を体現した中盤の流動性

text by 舩木渉 photo by Getty Images

際立った中盤の流動性。前節からの進化

 ポステコグルー監督が「あくまでスタートポジション」と語ったのは、主に攻撃から守備の切り替えの場面でのこと。そのタイミングで2人のセントラルMFが横並びにセットする形を基準にしていたが、攻撃に関しては中盤の3人のうち2人以上が同じラインで横並びになるシーンはほとんどなかった。

 基本的には扇原が中盤の底で起点になりつつ、状況に応じて天野とバブンスキーもローテーションする。時にはバブンスキーがディフェンスラインからのパスを受けに下がることもあれば、扇原が思い切って相手の守備の裏へ走ることもある。それぞれ持ち味の違う選手たちが様々な局面に顔を出して攻撃にバリエーションを加えた。

 走行距離のデータを見ると横浜FMのチーム内1位が天野の12.2km、2位が扇原の11.9kmとなっており、フル出場した中盤の2人がポジションを固定せずピッチを動き回っていたことがわかる。

 第3節の鳥栖戦までに指摘されていた中盤の動きの柔軟性のなさを解決し、アップデートすることでチーム全体の活性化に成功したと言えるだろう。「僕たちは中盤で流動的に、どこか1ヶ所にとどまるのではなく動き続けて、相手の混乱を作り出したかった。MFは相手の嫌がるスペースを常に探してボールを受けて、パスをできるだけ長く回し続けることが必要。今日はそういったことがよくできていたと思う」とバブンスキーは語る。

 これは「どのようなフォーメーションでも、スターティングポジションがどのような位置であったとしても、選手に伝えているのは常にボールを受けられる位置に入ってくること。その中で動きながら自分のスペースを見つけようと言っている」というポステコグルー監督の要求に合致する。

 監督の求める動きをこなすだけでなく、選手たち自身による自主性も芽生えてきた。前半、相手陣内からのロングパスによって何度か守備陣の背後を突かれてピンチを迎えた横浜FMは、中盤の「スタートポジション」を調整して切り抜け、その後は安定して相手陣内で試合を進めることができた。

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