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日本代表 6年前

【西部の目】ハリルJは個性の薄いチームに。失われた特徴、“素の状態”のレベル低下

27日、日本代表はキリンチャレンジカップでウクライナ代表と対戦し1-2で敗れた。追いかける展開の中でセットプレーから同点としたものの、後半に突き放された。中島翔哉という収穫はあったが、地力の差が結果に表れた試合だ。また、ある弊害によって、以前は備えていた日本の良さの一つがなくなっている。(取材・文:西部謙司)

シリーズ:西部の目 text by 西部謙司 photo by Getty Images

表れた地力の差

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ウクライナ戦は、スタイルが似ているだけに余計に実力差が目立った【写真:Getty Images】

【日本 1-2 ウクライナ】

 日本とウクライナはよく似た戦い方を志向していた。堅固な守備からの速攻が狙いだ。ベースと個々のクオリティで上回ったウクライナの順当勝ちとはいえ、前回のマリ戦よりも日本は良いプレーをした。

 この時期の強化試合で手の内をすべてさらすことはない。とくに日本のような立場のチームは相手を分析しての対策が重要になってくるので、例えばウクライナを相手にポーランド用の戦術を試したわけではない。もちろん手の内を隠すためにデタラメをやるわけではなく、想定されるいくつかの戦い方の1つはやっているわけだが、従来のベースから外れない範囲だった。つまり主に選手のテストである。

 とはいえ、軸になる7人はほぼ決まっていて、先発のポジションでいえば2枠ほどの競争だろう。具体的には川島永嗣、酒井宏樹、吉田麻也、槙野智章、長友佑都、長谷部誠の6人は確定的。山口蛍もメンバーには入るだろう。FWの左も原口元気か乾貴士、CFは大迫勇也か杉本健勇かの選択なので、決まっていないのはMFのポジションが1つか2つ、あとはFWの右サイドになる。

 右サイドバックのバックアップは不安材料しか出てこなかった。マリ戦の宇賀神友弥に続いてウクライナ戦の酒井高徳も不安定だった。トップ下のポジションを争った森岡亮太と柴崎岳はどちらも大きなインパクトは残せず、今回招集外の香川真司、清武弘嗣にチャンスが残された格好だ。右ウイングの久保裕也と本田圭佑も同様の状態といえる。

 最大の収穫は中島翔哉。限られた時間内で確実に爪痕を残した。スーパーサブとしての資質は十分。ウクライナ戦ではセカンドトップ的に中央で起用された。このポジションで起用された候補がすべて保留状態なので、ここに中島が食い込んでくる可能性もありそうだ。

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