フットボールチャンネル

日本代表 6年前

【西部の目】ハリルJは個性の薄いチームに。失われた特徴、“素の状態”のレベル低下

シリーズ:西部の目 text by 西部謙司 photo by Getty Images

ファーストパス、サイドチェンジ、ビルドアップ

180328_haril_getty
ラストスパートでの巻き返しに期待するしかないのだろう【写真:Getty Images】

 日本とウクライナは、どちらもミドルゾーンのプレスを軸にした守備ブロックを敷いてコンパクトに守り、奪ってからの速い攻め込みを狙っていた。守備の規律と寄せの早さ、高いところで奪っての攻め込みには日本の特徴は出ていたものの、全体的にはウクライナのほうが格上。スタイルが似ているだけに余計に実力差が目立っていた。

 ハリルホジッチ監督が指摘したとおり、「奪ってからのファーストパス」「サイドチェンジ」には明確に違いが表れていた。速攻ができない場合のビルドアップにも差があった。ボールの動かし方に意外性がなく、テンポも変わらないので縦へのスイッチが入らない。4年前は少なくとも問題なくボールを運べていたのに、その長所はすっかり消えている。どうやって得点するかの答えを持っていない、カウンターに弱いのは同じだが、日本の特徴の1つは失われた。ただ、かつてはできていたことなので、大会直前に作り込めば形にはなるかもしれない。

 いわば素の状態でプレーしたときのレベルが4年前と比べても低下しているのは厳しい。メンバー決定後にシェイプアップして、監督が得意とする分析と対策による上積みがあるとしても、ベースが低ければ相手を上回るほど高くはならない。ベースの構築にあたって制限をかけすぎた弊害が出ている。得意を捨ててしまった結果、個性の薄いチームになってしまった。

 とはいえ、ワールドカップという特異な大会で結果を出すには何が必要かはよく知っている監督ではあるので、ラストスパートでの巻き返しに期待するしかないのだろう。

(取材・文:西部謙司)

【了】

★W杯予選まとめはこちら★

1 2

KANZENからのお知らせ

scroll top