C・ロナウドが「最悪の存在」に
レアル・ マドリーの1点リードで迎えた後半19分、カルバハルのクロスに反応したクリスティアーノ・ロナウドは、ゴールを背にしたまま跳び、空中で右足を合わせた。華麗なバイシクルキックで放たれたシュートはゴール右上に吸い込まれる。ジャンルイジ・ブッフォンは反応できなかった。
その後、アリアンツ・スタジアムのスタンド全周に渡って拍手が起こった。記者席近くのスタンドにいたユベントスファンの多くは、立ち上がって拍手を送っていたほどだ。昨季のチャンピオンズリーグ(CL)決勝でハットトリックを喰らい、リベンジを期して臨んだ今回の対決で、同じ相手から歴史に残るゴールを決められたユベントス。3失点はすべてC・ロナウド絡みだった。
堅守を誇るはずのユーベDF陣が、彼一人に2試合で5ゴールを献上した。卓越した技術とスピードのみみならず、長い距離を走った後でも落ちないプレーの精度と集中力がこのアスリートの武器だ。そしてそれは、安定感に欠けたユーベの守備陣にとって、最悪の存在となった。
3分のマドリーの先制ゴールは、まさしくユーベ守備陣のミスを突かれたものだった。マルセロが左サイドでボールをキープすると、同サイドにいるドゥグラス・コスタとマッティア・デ・シリオの2人が同時にプレスにいってしまう。その結果、裏ではイスコがまんまとフリーになっており、縦パスを出された。
慌てて下がったユーベのセンターバック陣は、ここでミスを犯した。アンドレア・バルザーリとジョルジョ・キエッリーニとの間で意思疎通がうまくいかず、2人がカリム・ベンゼマのマークに重なってしまったのである。試合後にバルザーリは地元メディアに対し「ジョルジョから指示があって、自分はニアを切ってくれと言われた。ただその時、ベンゼマにブロックされた」と証言している。
こうして彼らは、ベンゼマにスクリーンを掛けられる格好で、ニアポストのスペースを空けてしまった。するとここでフリーで入り込むのが、C・ロナウドだ。隙を与えれば許してはもらえない。イスコからグラウンダーのクロスを受けた彼は、右足のアウトサイドでボールを払い、ゴール右隅へと流し込んだ。