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ユーベにとって“最悪の存在”。C・ロナウドが見せつけた格の違い。堅守決壊の要因は?

現地時間3日、UEFAチャンピオンズリーグ(CL)の準々決勝1stレグが行われ、敵地に乗り込んだレアル・マドリーがユベントスを3-0で下した。貴重なアウェイでの完勝に加え、違いを見せつけたのはクリスティアーノ・ロナウドだった。相手の一瞬の隙も見逃さない抜け目なさで全3得点に絡み、アウェイで拍手喝采を浴びることとなった。(取材・文:神尾光臣【イタリア】)

text by 神尾光臣 photo by Getty Images

C・ロナウドが「最悪の存在」に

クリスティアーノ・ロナウド
クリスティアーノ・ロナウドが全得点に絡む活躍。レアル・マドリーは3-0でユベントスに完勝【写真:Getty Images】

 レアル・ マドリーの1点リードで迎えた後半19分、カルバハルのクロスに反応したクリスティアーノ・ロナウドは、ゴールを背にしたまま跳び、空中で右足を合わせた。華麗なバイシクルキックで放たれたシュートはゴール右上に吸い込まれる。ジャンルイジ・ブッフォンは反応できなかった。

 その後、アリアンツ・スタジアムのスタンド全周に渡って拍手が起こった。記者席近くのスタンドにいたユベントスファンの多くは、立ち上がって拍手を送っていたほどだ。昨季のチャンピオンズリーグ(CL)決勝でハットトリックを喰らい、リベンジを期して臨んだ今回の対決で、同じ相手から歴史に残るゴールを決められたユベントス。3失点はすべてC・ロナウド絡みだった。

 堅守を誇るはずのユーベDF陣が、彼一人に2試合で5ゴールを献上した。卓越した技術とスピードのみみならず、長い距離を走った後でも落ちないプレーの精度と集中力がこのアスリートの武器だ。そしてそれは、安定感に欠けたユーベの守備陣にとって、最悪の存在となった。

 3分のマドリーの先制ゴールは、まさしくユーベ守備陣のミスを突かれたものだった。マルセロが左サイドでボールをキープすると、同サイドにいるドゥグラス・コスタとマッティア・デ・シリオの2人が同時にプレスにいってしまう。その結果、裏ではイスコがまんまとフリーになっており、縦パスを出された。

 慌てて下がったユーベのセンターバック陣は、ここでミスを犯した。アンドレア・バルザーリとジョルジョ・キエッリーニとの間で意思疎通がうまくいかず、2人がカリム・ベンゼマのマークに重なってしまったのである。試合後にバルザーリは地元メディアに対し「ジョルジョから指示があって、自分はニアを切ってくれと言われた。ただその時、ベンゼマにブロックされた」と証言している。

 こうして彼らは、ベンゼマにスクリーンを掛けられる格好で、ニアポストのスペースを空けてしまった。するとここでフリーで入り込むのが、C・ロナウドだ。隙を与えれば許してはもらえない。イスコからグラウンダーのクロスを受けた彼は、右足のアウトサイドでボールを払い、ゴール右隅へと流し込んだ。

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