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ユーベにとって“最悪の存在”。C・ロナウドが見せつけた格の違い。堅守決壊の要因は?

text by 神尾光臣 photo by Getty Images

一瞬の隙が命取りに。歴史的バイシクルシュート炸裂

 そしてC・ロナウドのバイシクルキックの場面でも、やはりユーベ守備陣のミスが絡んでいたのである。

 マドリーのカウンターとなった場面で、後方から前線にロングパスが飛んでくる。落下点にはキエッリーニとブッフォンが対応したが、意思疎通を誤った挙句、キエッリーニがボールをクリアしそこない後逸する。ブッフォンが飛び出した裏にC・ロナウドが走り込み、ユーベの守備は大混乱。慌ててディフェンスラインが隊列を整えるなか、最終的にはC・ロナウドの折り返しからルーカス・バスケスにフリーでシュートを打たれるが、ブッフォンのセーブでなんとか掻き出した。

 こぼれ球はマドリーに拾われ、カルバハルが右から持ち込む。この時ユーベの守備陣の注意はボールホルダーに向き、前線に残していたC・ロナウドのことは意識から離れていた。すると、その隙は見逃されなかった。デ・シリオの背後から走り込み、ディフェンスラインの前にスペースに急に姿を表した彼に対し、対応できるユーベのDFは誰もいなかった。「あれをマークしろというのは無理」とバルザーリは言っていたが、隙を見せればやられるわけである。

 カーディフの雪辱を晴らすどころか、ホームでも大敗。「C・ロナウドは最近9試合で14ゴール。最高峰のセンターFWだ。ここ数年当たり前のように準決勝以上に進出するのだから、そもそもマドリーは強い」。ユーベのマッシミリアーノ・アッレグリ監督は試合後の記者会見で、タレントの力量差を認めていた。

 ただ解せないのは、1年前にも思い知らされたはずなのに、なぜ同じことの繰り返しになったのかということだ。いやこの日のユベントスは、むしろより攻撃的に向かっていってさえいた。

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