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川崎Fの齋藤学、古巣・横浜FM戦で197日ぶり復帰。大ブーイングは「愛情の裏返しだと思って」

text by 編集部 photo by Getty Images for DAZN

齋藤学
川崎フロンターレの選手として約半年ぶりに復帰を果たした齋藤学【写真:Getty Images for DAZN】

 明治安田生命J1リーグ第6節が8日に行われ、横浜F・マリノスと川崎フロンターレによる「神奈川ダービー」は1-1のドローに終わった。

 お互いに1ゴールずつ奪って迎えた終盤の77分、川崎フロンターレの1人の選手が交代のためにピッチ脇に立つと、スタジアム全体がざわつき始めた。そして阿部浩之に代わってピッチに入った瞬間、大ブーイングが降り注ぐ。齋藤学が古巣・横浜FMの本拠地で昨年9月23日のヴァンフォーレ甲府戦以来、197日ぶりの戦列復帰を果たした。

 甲府戦で右ひざ前十字じん帯損傷を負い、全治8ヶ月と診断された齋藤だったが、予定を大幅に上回る回復を見せて約半年でピッチに帰ってきた。その間に、横浜FMから川崎Fへ移籍したことが大ブーイングの理由である。

 昨季は横浜FMでキャプテンを務めた男は、持ち前のドリブル突破も何度か披露。まだ万全の状態には遠かったが、かつてのホームで存在感を発揮した。試合後、「(復帰戦の相手が)マリノスというのは、すごく感じるものがありました」と齋藤は語った。

 長いリハビリは「自分にとってサッカーがどれだけ楽しく、どれだけ大きいものかというのを感じられる期間だった」と語る川崎Fの背番号37は、「サッカーをする、サッカーを楽しむという大きな思い」を胸に約15分のプレーを噛み締めた。

 プレーに関わるたびに古巣のサポーターからは大ブーイングが飛んだが、サッカーをすることへの喜びが大きかったのか「正直、ボールを持った時のブーイングはあまり感じなかったな…」とも。

 ただ、試合前の選手紹介時のブーイングには思うところがあったようで、「勝手に愛情の裏返しだと思ってやればいいかな。そうじゃないという声もたくさん出るだろうけど。自分にとってはこのピッチで戻れたというのはすごく感じるものもある。ただ僕はフロンターレの選手なので、これからは等々力で川崎フロンターレの選手として勝利に貢献できるようにしていければいい」と、新天地でのさらなる活躍に頭を切り替えていた。

 試合後には少年時代から共にプレーした横浜FMの金井貢史とユニフォームを交換し、古巣のサポーターに軽く会釈した。齋藤本人としてはしっかりと挨拶に向かいたかったようだが、「いろいろ止められちゃって…それでも自分としては好きなクラブなので、しっかりと挨拶はしなきゃなということですかね」と明かした。

 まだまだ本来のコンディションからは程遠い。だが、それでも結果が求められることを、齋藤は強く意識している。古巣との再会でようやく1歩目を踏み出した。昨季のJ1優勝クラブである川崎Fでの齋藤学の挑戦は、まだ始まったばかりだ。

【了】

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