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Jリーグ 6年前

永井謙佑がW杯の秘密兵器に? 西野ジャパンに相応しい理由。FC東京を支えるラン&ラン

text by 藤江直人 photo by Getty Images

永井の代表招集を後押しする外的要因も…

 西野監督は先月12日の就任会見の席で、代表メンバーに選考方針における「3原則」を「過去の経験、実績にプラスして、ここ1ヶ月の状況を正確に見極めたい」と公言した。

 代表キャップが「6」の永井には、A代表における経験や実績はない。しかし、U-23代表として出場した2012年のロンドン五輪では、グループリーグのU-23モロッコ代表戦で決勝ゴールを、準々決勝のU-23エジプト代表戦では先制ゴールを、ともに自慢のスピードを生かしてマークしている。

 44年ぶりとなるメダルにこそ手が届かなかったが、開幕前の芳しくない下馬評を覆してベスト4進出を果たしたロンドン五輪の快進撃は、永井の存在を抜きには語れない。そして、当時のU-23代表を率いた関塚隆監督が、いま現在は技術委員長として西野ジャパンをフォローしている。

 何よりも、3つ目の「ここ1ヶ月の状況」に関しては、ほぼ完璧に満たしていると言っていい。同じく縦へのスピードを武器としながら、年が明けてからは一度もピッチに立てず、実質的な戦力外となっているFW浅野拓磨(シュツットガルト)を逆転している。

 しかも、代表監督就任後に西野氏が初めて視察に足を運んだ一戦で、永井は鮮烈なパフォーマンスを演じた。FC東京は敵地でセレッソ大阪に屈したものの、先発フル出場を果たした「11番」は、今季のJ1で最多となる実に42回ものスプリントを記録している。

「ワールドカップのことは、特に気にしていません。とりあえずチームで頑張るのが基本なので」

 FC東京で結果を残し続けた先に未来が開ける――こんな思いを胸中に秘める永井は、チームメイトたちにこんな声をかけて、リーグ戦のキックオフに臨んでいる。

「苦しかったら前へ蹴ってくれ」

 西野監督のもとでプレーしたグランパス時代から3年。心技体のすべてでスケールを増した永井は自然体を貫きながら、最大35人の予備登録メンバーがFIFAへ提出される前の最後の一戦となる、13日の北海道コンサドーレ札幌戦(味の素スタジアム)でもスプリントを駆け続ける。

(取材・文:藤江直人)

【了】

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