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かつては欧州制覇も・・・。ドイツの名門HSV、クラブ史上初の2部降格。懸命な追い上げも実らず

text by 青木務 photo by Getty Images

キャプテンを務めるのは酒井高徳

 高原直泰がハンブルガーSVに加入したのは2003年冬のことだった。01年にアルゼンチンのボカ・ジュニアーズでプレーし、02年にはジュビロ磐田でJ1得点王を獲得。エコノミークラス症候群を発症し、日韓ワールドカップ出場を逃がした万能型ストライカーは、自身2度目の海外挑戦の地にドイツを選んだ。

 世界を驚かせるゴールが生まれたのは03年2月。バイエルン・ミュンヘンを相手に決めた移籍後初ゴールだった。1点ビハインドで迎えた後半アディショナルタイム、イラン代表マハダビキアの右クロスに反応すると、素晴らしい跳躍から渾身のヘッドを放った。

 バイエルンの守護神は、オリバー・カーン。日韓ワールドカップで活躍し、日本でも有名になった世界屈指のGKだ。カーンはこの試合の途中で自身の持っていた無失点記録を塗り替えている。そんな名手が守るゴールを高原がこじ開け、大記録を802分で途切れさせたのだった。

 現在、クラブには2人の日本人選手がプレーしている。一人は日本代表の酒井高徳。日本人の父とドイツ人の母の間に生まれた酒井は、12年にシュトゥットガルトに加入すると、15年からハンブルガーSVでプレー。そして、16年からはキャプテンを任されるなど、チームの大黒柱として働いている。監督が代わっても、彼の腕には腕章が巻かれている。

 さらにもう一人、伊藤達哉はチームの救世主的存在として注目を集める。柏レイソルU-18に在籍していた15年に海を渡り、年代別チームでチャンスをうかがってきた。そして、17年9月にトップチームデビューを果たすと、キレのあるドリブルやアグレッシブなプレーでチームを活性化。ゴールに直結するパフォーマンスを発揮してきた。

 酒井、伊藤の活躍で残留を手繰り寄せられれば良かったが、現実は容赦がなかった。

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