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長友佑都 6年前

長友がトルコで高く評価される理由。強敵を沈黙させた2試合と情熱のサポーターの支え

text by 神尾光臣 photo by Getty Images,Mitsuomi Kamio

指揮官の求める資質と自らの持ち味がマッチする

長友佑都
ガラタサライでは長友の持ち味が最大限に発揮できる【写真:Getty Images】

 注視すべきなのは、長友は新しいチーム、新しい監督のもとで攻撃にシフトしたプレーを要求されながら、安定感を出したということだ。マラティヤスポル戦ではアシストなど目立つ結果はなかったものの、これまでの好調ぶりがそのまま出るプレーをしていた。

 前方にいるガリー・ロドリゲスにボールが入れば素早くフォロー。本人が突破をかければ、並走をするかの勢いで後方から走り、時には追い越してパスをもらいクロス。近年のインテルでは上がりを自重し、イバン・ペリシッチと一緒に前に上がることは少なかった。ここに一つの違いが見られる。

 サイドバックには上下動よりも組み立てを課すというのが現代の戦術のトレンドと言われており、ステファノ・ピオーリ監督やルチャーノ・スパレッティ監督も長友にそういう要求をしていた。

 一方ファティーヒ・テリム監督は、昔からサイドバックをアグレッシブに上がらせるのが好きな人。どちらがいいかというのはさておき、上下動という長友の持ち味は後者の方が出せる。実際、インテルではポジションを他に譲り、ガラタサライではよく使われた。

 そもそも、今季に関してインテルでは不調でポジションを失ったわけではない。自らを鍛えてコンディションを保ち、戦術も噛み合えば、新天地でも結果が出せるということだろう。

 また上下動がリズミカルにできることで、守備も安定。この日も対面の選手にほとんど仕事をさせなかった。インテル時代に比べれば、試合中のケアレスミスも心なしか減っている印象だ。ヒヤリとさせられたのは、前半途中で左すねの裏をひどくスパイクされて、しばらく動けなかった時ぐらい。もちろん、ミスでヒヤリとさせられるというのとは全く異なる話だ。

 ガラタサライは2ー0で勝利。もっとも後続が皆勝利し勝点3が縮まらなかったために、優勝決定は次節のアウェー・ギョズテペ戦に持ち越された。このところアウェー戦では終盤に失速し猛攻を食らうことの多いガラタサライだが、長友がそこで安定感を発揮し堅守に貢献できるか注目である。

 そして仮に優勝が決まれば、ネビサデ通りに巣食うであろうファンはどう喜ぶのだろうか。スタジアムに向かう地下鉄の中でも、自発的に応援が始まり周囲が次々と乗っかるという様には感銘を受けた。こういうサポーターたちに支えられながらサッカーを続けるということも、しあわせな選択には違いない。

(取材・文:神尾光臣【トルコ】)

【了】

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