助っ人アフリカ人の哀れな結末。ベトナムを騒がせた詐欺事件、選手とクラブが生み出す悪循環

ベトナムプロサッカーリーグ(Vリーグ)において、アフリカ人選手の存在は絶大である。強靭なフィジカルと高い身体能力は大きな武器となり、Vリーグではこうした選手たちが重宝されている。だが4月はじめにアフリカ人選手による詐欺事件が発生し、ベトナム国内に大きな衝撃が走った。その背景には一体、何があったのだろうか。(取材・文:宇佐美淳【ベトナム】)

2018年05月20日(Sun)10時20分配信

text by 宇佐美淳 photo Getty Images
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衝撃が走ったアフリカ人選手による詐欺事件

ベトナム
4月はじめ、アフリカ人選手による詐欺事件がベトナム国内に大きな衝撃を与えた【写真:Getty Images】

 外国人枠が僅かに2枠しかないベトナムプロサッカーリーグ(Vリーグ)において、最も重宝される助っ人。それは強靭なフィジカルを武器とし、圧倒的な高さとパワー、スピードを持つアフリカ人選手たちだ。Vリーグ各クラブにとって、如何に優秀なアフリカ人ストライカー、またはセンターバックを迎えるかが毎年強化のポイントとなる。

 ベトナムでプレーするアフリカ人選手たちは、母国では到底稼ぐことができない高額な報酬をもらっており、かなり恵まれた待遇にある。しかし、引退後の生活はかなり厳しいようで、中には犯罪に手を染めてしまう者もいるようだ。

 4月はじめ、ベトナムのサッカーファンを驚かすニュースが飛び込んできた。元プロサッカー選手のグエン・ハン・チェウコ・ミン(本名:ブノワ・チェウコ、通称ペン、35歳)が詐欺容疑で逮捕されたというのだ。カメルーン出身のペンは、2013年にベトナム国籍を取得。かつてVリーグのキエンザンFCやドンタップFC、ドンナイFCで活躍し、外国人ながらキャプテンも務めた名選手だったが、この3年は無所属の状態が続いていた。

 現役時代の輝きを知っていた筆者は、逮捕の知らせを聞いて我が耳を疑ったが、アフリカ人選手と強いパイプを持つ代理人によると、こうしたケースは決して珍しいものではないという。

 毎年アフリカから多くのサッカー選手たちがトライアウトを受けるため、ベトナムに渡ってくる。ペンもその一人だった。現在、ハノイFCで中心選手として活躍するウガンダ代表MFモーゼス・オロヤは以前、母国のメディアに対し、「Vリーグでは、たった1年働いただけで、ウガンダで60年働いた分の稼ぎが得られる。」と話していた。

 人生の一発逆転を狙って、カメルーン、セネガル、ナイジェリア、ウガンダ、マリなどから、この15年あまりの間に、千人もの選手がベトナムに来たとされている。契約を勝ち取った者は、高い収入を得ているはずだが、ベトナムを去る時には、無一文になっている者も少なくない。

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