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Jリーグ 6年前

湘南・坂圭祐、大型FWにも屈しない174cmのCB。磐田エースとの対戦で得た成長への意欲

text by 小澤祐作 photo by Getty Images

今季1番難しかった川又とのマッチアップ

坂圭祐
坂は川又とのマッチアップを難しかったと振り返っている【写真:Getty Images】

 何より今節、坂がマッチアップしたのは、磐田のエースである川又だ。日本代表出場歴もあるJリーグ屈指のストライカーは、この試合で何度も攻撃の起点となり、さすがの実力をみせつけていた。

 しかしそんな相手のエースに決定的な仕事をさせず、強力な磐田攻撃陣を0に抑えている。23歳の大卒ルーキーは、自信を深めてもおかしくはない出来だったが、坂の口から出た言葉は意外なものだった。

「飛ばせないように密着したり、(川又が)左利きなので右に行かせたりという意識はしていましたけど、今回は一番難しかった。防いだっていう感覚はない」

 これまでパトリックなどといった大型FWにも競り勝ってきた坂がこれほど明確に「難しかった」と口にすることは珍しい。

「最近の試合では、ヘディングで競り勝つとか明らかなシーンがあったんですけど、今日はあんまり(川又に)勝てなかった。オフの動きも多くて競り合いも強かったんで難しかったですね」

 しかし、「勝てなかった」という言葉の中に、自信を失っているような感じは見受けられなかった。今季、湘南で飛躍を果たしている坂は、磐田エースとの対戦を経て、「もっと成長したい」と前向きに今回のマッチアップを捉えている。そこに自身の課題も見つけ出すことができ、なおかつさらなる成長への意欲も見出した。そういった意味では、坂にとって磐田とのゲームは、1つ大きな財産となったのかもしれない。

 Jリーグはここから一時中断期間に突入する。坂はここまでを振り返り、「必死に必死にやってきて0に抑えたり、けっこう失点したり、もっと余裕持って練習からやっていけたらいいと思います」と決して満足している様子ではなかった。

 しかし、川又との対戦には敗れたかもしれないが、成長への意欲を見出した。174cmの小さなCBは、今節を皮切りに一回りも二回りも“大きく”なった姿を、我々に見せてくれるだろう。

(取材・文:小澤祐作)

【了】

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