フットボールチャンネル

代表 6年前

63億円も安い。最高の大器、ダビンソン・サンチェス。日本に立ちはだかる22歳のプレミア級CB【W杯 日本を襲う猛獣たち】

シリーズ:W杯 日本を襲う猛獣たち text by 山中忍 photo by Getty Images

強靭なフィジカルで空中戦もスピードも一級品

 だが、プレミアで先発を重ねる中、CLでも格上と渡り合ったことにより、サンチェスには、「いよいよ本物か?」、「移籍金4200万ポンドは安い!」といった声が上がり始めた。その後も、試合を重ねる毎に「伸びしろも十分の即戦力」としての説得力を増した。

 移籍1年目にして、プレミアでは29回の先発を含む31試合に出場。昨年12月後半からリーグ戦で14試合無敗を続けたトッテナムの最終ラインには、フェルトンゲンとサンチェスのCBコンビがいた。

 アルデルバイレルトは、奇しくもレアル・マドリーとの2戦目で負傷退場。怪我から復帰した後も、3バックから変更された4バック中央の一角を奪い返すことができない時期が続いた。29歳のベルギー代表CBをベンチに留めたサンチェスは、プレミア3位の正CBとしてシーズンを終え、クラブからも年俸アップの新6年契約で1年目の活躍を評価された。

 プレミアのCBは、昔も今も、フィジカルの強さが前提だ。身長187センチ・体重83キロのサンチェスは「巨漢」ではないが、十分な「大型」。筋肉質の体が、力強いタックルやブロックを可能にする。

 プレミア基準では、とりわけ「長身」のCBでもないが、全身のバネを生かして空中戦でも互角以上の競り合いを演じる。距離の出るヘディングでのクリアも朝飯前。そのフィジカル度は、身長と体重から連想するイメージよりもはるかに高い。

 得意のヘディングを自軍ペナルティエリアの外で披露することが多いように、サンチェス最大の特長はカバー領域の広さにある。ハイラインを基本とするポチェッティーノが、サンチェス起用を好む大きな理由でもあるはずだ。

 カウンターで一気にラインの裏をつこうとしても、抜けたかに思える相手FWに激走で追いつき、強靭なタックルで敵のチャンスの芽を潰してみせる。思い返せば、アヤックスの一員として出場した昨年5月のEL決勝でも、チームとしてはマンチェスター・ユナイテッドに敗れたが、サンチェス個人は、マーカス・ラッシュフォードのスピードにも難なく対応していた。

1 2 3 4

KANZENからのお知らせ

scroll top