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代表 6年前

63億円も安い。最高の大器、ダビンソン・サンチェス。日本に立ちはだかる22歳のプレミア級CB【W杯 日本を襲う猛獣たち】

シリーズ:W杯 日本を襲う猛獣たち text by 山中忍 photo by Getty Images

溢れる学習意欲。YouTubeで往年の名手を研究

 もちろん、完成品ではない大器が完璧であるはずはなく、そのユベントス戦では、敵の逆転ゴールに間接的に絡んでもいる。ボールにつられて持ち場を離れ、ゴンサロ・イグアインにラストパスを許す結果となった。ミスと指摘するのは酷だが、誰よりもサンチェス自身が悔いの残る1プレーだったに違いない。

 その67分のチーム2失点目の後は再び、ヘディングでのクリアやパスカットを繰り返し、反撃を期して前方へのフィードを試みる、サンチェスらしいパフォーマンスを見せることができていたのだ。

 成長期にある新CBには、元DFでもあるポチェッティーノが、事あるごとにアドバイスを送っているはずだ。サンチェスに言及する際の指揮官は、選手としての能力だけではなく、「助言を注意深く聞く」、「忠告を素直に受け止める」、「自分自身に厳しい」といった、若者としての性格をも大成を期待する理由として上げることが多い。

 往年の名DF、フランコ・バレージやパオロ・マルディーニの映像をYouTubeで確認して参考にしていることも、今では良く知られている。

 筆者がサンチェスに重ねたイメージは、マルセル・デサイー。元フランス代表CBとして98年W杯優勝も成し遂げた名手のプレーを頻繁に目にしたのは、当人が30代だったチェルシー時代に限られるが、モダンなCBに必要な全要素を潜在的に持つサンチェスの姿を見ると、「若い頃のデサイーはこうだったのでは?」と思わされる。

 今夏のロシアで、コロンビア代表にとってのW杯が始まる6月19日、対戦相手となる日本代表の前には、優れた身体能力と守備センスを備え、経験値の不足分は学習意欲で補う意欲をも持つ、22歳と1週間のプレミア級CBが立ちはだかる。

(取材・文:山中忍【イングランド】)

【了】

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