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代表 6年前

63億円も安い。最高の大器、ダビンソン・サンチェス。日本に立ちはだかる22歳のプレミア級CB【W杯 日本を襲う猛獣たち】

シリーズ:W杯 日本を襲う猛獣たち text by 山中忍 photo by Getty Images

若さゆえ? 唯一とも言える弱点は…

ダビンソン・サンチェス
足元の技術も高いが、やや強引なフィードはピンチを招く可能性も【写真:Getty Images】

 指揮官が「アグレッシブなマーカー」と表現するサンチェスは、対人の守備にも強い。

 トッテナムが敵地スタンフォード・ブリッジで28年ぶりの白星を記録した、今年4月1日のチェルシー戦(3-1)では、果敢に仕掛けるタイプのエデン・アザールにも決定的な仕事をさせていない。対峙した相手の前で、ディレイからボール奪取へと移る判断の良さには、生まれ持った守備センスの良さが窺える。

 当初はMFとして育成された過去を持つだけに、足元の技術も確かなものを持つ。瞬時に逆サイドにプレーを振るような展開力を含むパス能力ではフェルトンゲンに敵わないが、短中距離のフィードはシャープ。

 1年目のプレミアでも、パス本数では平均70本弱のフェルトンゲンを約66本で下回ったが、成功率ではベテランのベルギー代表CBを3%ほど上回る89.4%を記録している。

 ビルドアップの起点として中盤にパスを通す意欲が裏目に出ていなければ、パス成功率は更に高まっていたかもしれない。逆に対戦相手から見れば、ボールを奪い取った直後のサンチェスは、素早いプレッシングでプレッシャー下に置けば、やや強引なフィードに失敗してショートカウンターのチャンスを提供してくれる可能性のある存在だとも理解できる。

 しかし、こと敵の攻撃を止める、相手からボールを奪うといった守りに関しては、ポチェッティーノもジョークを口にしながら感心していたように、とても21歳とは思えない落ち着いたプレーを見せる。

 CL準々決勝進出を懸けた、3月7日のユベントス戦第2レグでも、チームとして敗退は避けられなかったが(計3-4)、トッテナムの若きCBは、前半早々からインターセプトにシュートブロックにと、持ち前の速さと強さを発揮した。

 31歳のフェルトンゲンでさえ、いきなりダグラス・コスタにあわや一発退場かというタックルを見舞っていたが、サンチェスは終始、自軍DFで最も冷静だった。ホームの観衆から当日最大レベルの拍手喝采が沸き起こったのは、タイミングも抜群のスライディングタックルでサミ・ケディラを止めた前半の1シーンだった。

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