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開始3分の一発退場は妥当だった。コロンビアMFのハンドにVAR介入の余地なし【ロシアW杯】

text by 編集部 photo by Getty Images

カルロス・サンチェス
コロンビアのMFカルロス・サンチェスは開始3分でレッドカードを提示され一発退場に【写真:Getty Images】

 現地時間19日に行われたロシアワールドカップのグループリーグ初戦、グループHの日本代表はコロンビア代表に2-1で勝利を収めた。

 この試合の流れを決定づけたのは、開始3分の退場劇だった。コロンビアのMFカルロス・サンチェスがペナルティエリア内で香川真司のシュートを腕で阻止し、ダリル・スコミナ主審にレッドカードを提示されて一発退場となった。

 序盤で11人対10人になったことが勝敗に大きく影響したが、果たしてスコミナ主審の判定は妥当だったのか。国際サッカー評議会(IFAB)によって制定されている最新の競技規則から検証していく。

 まずカルロス・サンチェスがなぜ「ハンドリング」を取られたのかについて。「競技者が手または腕を用いて意図的にボールに触れる行為」は競技規則で「ボールを手で扱う反則」と定められている。その際、以下の条件が考慮される。

・ボールの方向への手や腕の動き(ボールが手や腕の方向に動いているのではなく)
・相手競技者とボールの距離(予期していないボール)
・手や腕の位置だけで、反則とはみなさない。
・手に持ったもの(衣服、すね当てなど)でボールに触れることは、反則とみなされる。
・もの(靴、すね当てなど)を投げてボールにぶつけることは、反則とみなされる。

 今回の場合「相手競技者とボールの距離」は十分に離れており、「ボールの方向への手や腕の動き」があったために、カルロス・サンチェスにはハンドリングの判定が下された。

 そして、本来ハンドリングの場合は直接フリーキックが与えられるが、今回はその反則がペナルティエリア内だったため、日本にPKが与えられた。

 もう1つ議論されるのは、カルロス・サンチェスが退場になるべきだったか、そうでなかったのかという点だろう。今回のケースで懲戒措置の対象になったのは、競技規則に定められている「相手の大きなチャンスとなる攻撃を妨害、または阻止するためにボールを手または腕で扱う」という点が理由だろう。

 いわゆる「反スポーツ的行為」とされるもので、上記であればイエローカードによる警告で済むが、「意図的にボールを手または腕で扱い、相手チームの得点または決定的な得点の機会を阻止する(自陣ペナルティエリア内のGKを除く)」場合はレッドカードの対象となる。

 例えば香川がペナルティエリア内でタックルを受けてファウルの判定を受けていれば、カルロス・サンチェスは「その反則がボールをプレーしようと試みて犯された反則だった場合、反則を犯した競技者は警告される」という規則にのっとってイエローカードだった。

 だが、「競技者が、意図的にボールを手や腕で扱う反則により、相手チームの得点、または、決定的な得点の機会を阻止した場合、反則が起きた場所にかかわらず、その競技者は退場を命じられる」と定められているため、カルロス・サンチェスのレッドカード退場は妥当だったのである。

 今回のケースはペナルティエリア内ではあっても単純なファウルとハンドリングを切り離して考えなければならない。

 香川のシュートはゴールの枠に飛んでおり、カルロス・サンチェスが触れなければ、そのまま得点になっていた可能性が高かったため「決定的な得点の機会を阻止」したことになり、さらに「意図的にボールを手または腕で扱」ったためにレッドカードが提示され、反則を犯した位置がペナルティエリア内なので日本にPKが与えられた。

 スコミナ主審の判定は極めて妥当であり、「ゴールになるか・ならないか」「PKになるか・ならないか」「一発レッドカードに相当するか・しないか」「警告や退場における人違いの確認」の4条件で実施されるビデオアシスタントレフェリー(VAR)による助言も介入する余地はなかったのである。

【了】

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