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代表 6年前

フランスとデンマークが演じた忖度試合。ブーイングは必至、両者の思惑通りに進んだ魔の90分間【ロシアW杯】

text by 小澤祐作 photo by Getty Images

後半に入りスローペースへ

 後半に入っても、フランスがボールを持つ展開は変わらなかった。しかし前半と比べ明らかに違ったのは、レ・ブルーにも引き分けで十分という意思が表れたことである。

 同時刻キックオフとなっていたオーストラリア対ペルーのゲームは、前半終了時点で1-0でペルーがリードしていたため、デンマークは敗れても決勝トーナメント進出を決めることができた。そのため、多少のリスクを負ってもフランス相手に攻める姿勢をみせ、勝ち切ることができれば首位通過という可能性も十分残されていた。

 しかし、他会場の情報はデンマークの選手たちに届いていなかったのか、後半に入ってもペースがまったく上がらない。それどころか、前半より後ろに構えたようにも思える。

 そしてデンマークのこういった姿勢がフランスにも伝わってしまった。もちろんフランスは引き分けでも首位通過が確定するため、無理にペースを上げる必要もない。必要以上に強く行ってしまえば、警告を受ける可能性もあり、怪我のリスクもある。「デンマークが前から来ないのなら、自分たちがボールを持って終わらせてしまえばいい」。そんなフランスの考えが、ピッチ上の選手のプレーに表れていた。

 もしデンマークが首位通過を狙い、前からプレスをかけてきたらそれこそ面白い試合になったかもしれない。しかし、オーストラリアの途中結果を知らない選手たちにはそういった考えはなかったのだろう。

 ワールドカップに退屈な試合になど存在しないと思っていたが、両者の思惑が悪い形で通じ合ってしまった後半は、残念ながら“退屈”と言わざるを得ないほどの内容だった。今大会初のスコアレスドローを演じたのが、「優勝候補フランス」というのも見る者をガッカリさせてしまっただろう。

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