フットボールチャンネル

日本代表 6年前

戦術は選手に丸投げ…? 代表監督候補クリンスマン氏の真の評価。情熱は日本でも通じるのか

text by 本田千尋 photo by Getty Images

戦術面は元ドイツ代表監督、レーブに一任

ヨアヒム・レーブ
ドイツ代表を率いるヨアヒム・レーブ監督【写真:Getty Images】

 他方、いわゆる戦術家としては見なされていない。ブラジル・ワールドカップではアメリカ代表を率いたクリンスマン氏。当時グループGの最終戦でドイツ代表と戦った。それに合わせて14年6月26日付の『シュピーゲル』電子版は、「レーブとクリンスマンの比較」と題する記事を掲載。そこでは最初に「戦術」という項目で、レーブが「生粋のタレント」と評されたのに対して、クリンスマン氏は「遅れを取り戻す者」と評されている。

「(戦術は)常にヨハヒム・レーブの専門分野だった。自国開催のワールドカップではアシスタントとしてチームを対戦相手に対して戦術的に調節した。クリンスマンはそれに対して感情面の担当だった」

「クリンスマンは全くレーブの側ではない。彼は加えて戦術を学ばざるを得ない。今日では彼はアメリカのチームをピッチに送り込んでいる。チームは従うべきクリアなプランの印象を(クリンスマンに)伝える」

 クリンスマン氏が「感情面」を担当し、レーブが「戦術的に調節」するという分業体制で06年のドイツ代表は成功を収めたが、その後、「モチベーター」が戦術家に転向した様子はない。

 08年7月、バイエルン・ミュンヘンの監督に就任したが、練習はほとんどフィットネスに関するもので、戦術面については選手たちにほぼ丸投げだったという。フィリップ・ラームが自著「DER FEINE UNTERSCHIED」の中で明かしている。11年7月に就任したアメリカ代表でも、それ専用の「チーム」を必要としたことは、先に『シュピーゲル』電子版が記したとおりである。

 もちろん16年11月に成績不振を理由にアメリカ代表監督の職を解かれ、雌伏の時を過ごしているクリンスマン氏が、現代サッカーの戦術を学んでいる可能性もある。かつて浪人中のトーマス・トゥヘルが、ペップ・グアルディオラに師事したように。

1 2 3

KANZENからのお知らせ

scroll top