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フランスが制した戦術合戦。ベルギーはどのように封じられたのか? 明暗を分けた要素とは【ロシアW杯】

ロシアワールドカップ準決勝は現地時間10日、フランスがベルギーを1-0で破り決勝進出を果たした。可変システムを用いるなど策を練ったベルギーに対して、フランスはどのように対応したのか。注目の大一番は高次元の戦術合戦となった。(文:海老沢純一)

text by 海老沢純一 photo by Getty Images

アザールをサイドに。主導権を握ったベルギー

エデン・アザール
エデン・アザール【写真:Getty Images】

 チーム力、個人技、奇策、運…サッカーでは勝敗の明暗を分ける要素は多岐にわたる。いわゆる“個の力”で圧勝することもあれば、選手個々の能力は低くとも相手の弱点を突くプランを見つけ出すことで勝利を挙げるチームも存在する。

 ロシアワールドカップ準決勝、フランス対ベルギーの一戦は、チーム力が明暗を分ける要素となった。

 ベルギーは、フランスを相手に守備時には4バックとなる4-3-3で対応した。これは、グループリーグと日本との決勝トーナメント1回戦を経て炙り出されていたウイングバックの裏という致命的な弱点を補うもので、ブラジルとの準々決勝でも十分機能していた。

 そして、攻撃時はシャドリとアザールをサイドに置いた3バックに変化する可変式のシステムを採用していた。カンテとポグバが形成するフランスの中盤は非常に強度が高いため、これまでのようにアザールを2シャドーに置くと潰されてしまう危険性が高い。

 そのため、左のシャドリが縦へ仕掛けることで注意を引き付け、逆サイドに開いたアザールがキープ力を生かして相手の守備ブロックを崩すというプランだった。さらにフランスの攻撃の起点となる191cmのポグバに対して194cmのフェライニをマンマークで付けた。

 フランスはこの戦略に手を焼き、試合の立ち上がりからベルギーが主導権を握る。特に左サイドのアザールは狙い通り数多くボールに触れ、ほとんどの時間をフランスの陣地内でプレーする状況が生まれていた。

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