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Jリーグ 6年前

トーレスの初得点は何を変えるか? イニエスタの前で輝いた嗅覚、鳥栖逆襲の切り札に

text by 青木務 photo by Getty Images for DAZN

直近のJ1ではチャンスをフイにしていた

 デビュー戦となった明治安田生命J1リーグ第17節・ベガルタ仙台戦では、今後への期待を抱かせた。右からのCKでは186cm、78kgの体躯を浮かし、ボールを頭で捉えた。また、抜け目ない動き出しから味方のパスを引き出すと右足でシュートを放っている。一人で何でもやるタイプではないが、自分の得意なプレーを完遂する迫力は見せた。

 しかし、歓喜の瞬間はなかなか訪れない。得点数の少ないサガン鳥栖は、シュートチャンスも多くない。トーレスは独力でこじ開ける選手ではないため味方のお膳立てが必要となるが、そうした機会に恵まれているとは言えない。シュート0本のままピッチを後にする試合もあった。

 それでも、直近のJ1第23節・名古屋グランパス戦では千載一遇のチャンスが訪れた。28分、自陣で味方が相手のパスをカットし、カウンターが発動。トーレスはハーフウェイライン付近からゴールに向かって真っ直ぐ走り出し、右へ膨らむ動きを見せる。そして、持ち運んできた金崎夢生とクロスするように左へと流れる。ボールは福田を経由し、最後は金崎のラストパスをトーレスが右足で合わせたが、シュートはクロスバーの上を越えていった。

 苦しいシーズンを戦っている今季の鳥栖にとって、1点が持つ意味は大きい。トーレスには決定機で輝くことが求められる。自身もそれを理解しているからこそ、手を叩いて悔しさを露にした。

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