フットボールチャンネル

日本代表 6年前

不安だらけな日本代表の将来。マレーシアに辛勝も…アジア大会組のA代表昇格は困難

text by 元川悦子 photo by Getty Images

次なる相手はサウジ。これまで以上にタフな戦いに

U-21日本代表
U-21日本代表の次なる相手はサウジアラビア。アジア大会ベスト4をかけて戦う【写真:Getty Images】

 フィリップ・トルシエ監督が率いていたシドニー五輪世代の頃は「アジアの五輪出場3枠を日本が全て取れる」と言われるほど選手層が厚かった。中盤を例に挙げても、中田英寿や中村俊輔や小野伸二がいなくても、小笠原満男や遠藤保仁がいて十分に戦える状況だった。だからこそ、世代交代は順調に進んだのだ。

 森保監督がコーチを務めていた2007年のU-20ワールドカップ組の「調子乗り世代」を見ても、香川真司や森重真人が控えに回るほど個性豊かな人材が揃っていた。槙野智章、柏木陽介らを含め、彼らは「自分を出す」という意識が鮮明だった。

 森保監督も「槙野たちの世代はチームのために戦うんだけど、より自分のプレーやキャラクターを出す姿勢があった。今の選手の方が少し大人しいのかなというのはある」と神妙な面持ちで語っていた。そのうえで指揮官は「今は技術的にはみんな高いからこそ、タフに粘り強くっていうところはもっと培っていかないといけない」と今回のメンバーに要求を出した。そういう選手が次々と出てきて初めて、アジア大会で勝ち進む意味があるのだ。

 中2日で迎える27日の準々決勝サウジアラビア戦では違った印象を残してほしいもの。「サウジもU-21代表だと聞いている。2年前のAFC U-19選手権決勝でやっている相手なので、負けたくないし、相手もリベンジしたいという気持ちで来ると思う。入りや勢いで劣らないように、自分たちが戦う姿勢をしっかりと持ってやっていきたい」とユース年代でアジア制覇を経験している岩崎も闘争心を新たにしていたが、ここでインパクトを残す人間が何人か現れれば、今回の日本の評価も劇的に変わるかもしれない。

 アジアでのベスト4入り、そしてA代表昇格という2つの目標をクリアすべく、選手たちにはこれまでにないほど奮起してもらいたい。

(取材・文:元川悦子【インドネシア】)

【了】

1 2 3

KANZENからのお知らせ

scroll top