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日本代表 6年前

不安だらけな日本代表の将来。マレーシアに辛勝も…アジア大会組のA代表昇格は困難

text by 元川悦子 photo by Getty Images

東京五輪世代のA代表への“昇格”が困難な現実

 長沼洋一と杉岡大暉の両アウトサイドも高い位置を取れたのは前半だけ。後半はマレーシア相手に5バック気味になる時間帯が長かった。ハードワークは間違いなくしていたが、攻守両面で有効な仕事ができていたかというと疑問が残る。

 渡辺晧太と松本の両ボランチにしても、前半こそタテへの意識が強かったものの、相手に押し込まれた後半は防戦一方。ラストの決勝点につながる松本のパス出しは救いとなったが、中盤を十分コントロールできたとは言い難い。このチームは以前から「ボランチの人材に難がある」という指摘もあったが、この日の彼らはその評価を覆す仕事はできていない。そこはやはり残念だった。

 そして前線3人も決定力という日本サッカー界の根深い問題を解決し切れなかった。先発した3人のうち、岩崎は前線からのアグレッシブなプレスと献身的な走りでチームを活性化し、勝負しようという姿勢を強く押し出すなど今後への希望を感じさせたが、ゴールを決めきれなかったのは事実。他の選手たちも工夫が足りなかった。「点を取れていないので、選手たちは高みを目指してやってほしい」と森保監督も注文をつけるしかなかったはずだ。

 ご存知の通り、今回のU-21日本代表はベストメンバーを招集できているわけではない。5月末のトゥーロン国際大会に招集した欧州組の冨安健洋や伊藤達哉(その後負傷により辞退)、オランダで実績をあげている堂安律はもちろんのこと、国内組の中山雄太や小川航基も参加していない。

 今年10月にAFC U-19選手権を控える安部裕葵や郷家友太らJリーグで試合に出ているU-19世代のメンバーも不在。「この世代でコアなグループに入ってきそうな選手はまだ他にいる」と森保監督も戦力不足を認めていた。

 加えて、インドネシアの劣悪なピッチ環境や大会の過密日程、アジア諸国の急激なレベルアップなど、苦戦の材料を挙げればいくつもある。それを差し引いても、今回チャンスを与えられた面々はもっと自分の強みや長所を泥臭く出さなければいけない。

 仮にチームとしてベスト4入りという結果を残せたとしても、今のままでは「近い将来のA代表昇格組はゼロ」ということになりかねない。「自分たちがロシアワールドカップ組を追い落としてやるんだ」という強いメンタリティを見せるような人間が出てこないと先行きは本当に厳しいのだ。

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