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セリエA 6年前

必然だったロナウドのセリエA初ゴール。接戦の中で本領発揮、ユーベに流れるDNAの象徴

text by 神尾光臣 photo by Getty Images

勇敢なサッカーでユーベを苦しめたサッスオーロ

ユベントス
サッスオーロは勇敢なサッカーでユベントスを苦しめた【写真:Getty Images】

 DFラインからショートパスを細かくつないで組み立てる。ユーベの選手たちが高い位置からプレスをかけようが御構い無しだ。それでいてミスは少なく、ダイレクトでパスが回る。天才ドメニコ・ベラルディにミランから移籍したマヌエル・ロカテッリ、そしてトルコ1部のコンヤスポルから発掘されたメフディ・ブラビアらのテクニシャンが絡むパスワークは非常に正確だった。

 さらに前線には、あのケビン・プリンス・ボアテンクがいた。今季からセリエAに復帰した彼は、MFながらCFの位置でプレー。アンカーやCBに喰らい付いてボールを奪うと同時に、自らがプレスに狙われれば力強いボールキープと体幹の強さで耐える。こうしてボールは繋がり、逆にユーベはことごとく流れを切られる。もともと相手に譲ってカウンター狙いに徹するプランではなかったにも関わらず、ショートパスでもポゼッション率でも相手に譲る。国内での試合では、あまりない光景だった。

 サッスオーロはまた、守備も非常に堅かった。相手側にボールがある際には4-5-1の並びで収縮させ、自陣のスペースを消す。そしてユーベの選手からパスコースを切り、個人技で仕掛けてきた時には複数で一気に囲む。この日のユーベはロナウドにマリオ・マンジュキッチ、それに最近先発から離れていたパウロ・ディバラが前線でトリオを組んでいたが、ボールは良い形で彼らに入らない。シュート数自体は多かったが、そのほとんどは雑に打たされたもの。マルロンとジャン・マルコ・フェラーリの両センターバックもよく集中し、ゴール前のシュートやクロスをブロックし続けた。

「ユーベをリスペクトするべきなのは当然だが、攻撃を仕掛ける時には積極的に攻めさせたかった。守るばかりになってしまうと、時間がより長く感じられてしまう」とデ・ゼルビ監督は言った。サッスオーロはその通りに、勇敢なサッカーを敢行したのだ。

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