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好調キープのアーセナル、“お得意”エバートンを完封。試合のキーマンとなったあの司令塔

text by 小澤祐作 photo by Getty Images

アーセナルを脅かしたあの男

 前半開始からエバートンはハイプレスでアーセナルを圧倒。高い位置でボールを奪うと一気にサイドから崩しにかかり、ホームチームのDF陣を混乱へと導いた。開始わずか2分でドミニク・カルバート・ルーウィンがGKペトル・チェフと1対1になる場面を作り出すなど、試合の入りは確実にエバートンに分があった。

 その後、アーセナルは最終ラインからボールを繋いでハイプレスを無効化しようと試みたが、アウェイチームの強度が落ちることは一切なかった。11分にナチョ・モンレアルに決定機が訪れたものの、ジョーダン・ピックフォードの好セーブもあり、先制点は生まれず。悪い空気が立ち込める中、もう一つアーセナルの脅威となったのが、FWリシャルリソンの存在である。

 今月、ブラジル代表に初招集され、11日に行われた国際親善試合の対エルサルバドル代表戦において2ゴールを挙げるなど華々しいデビューを果たした21歳は、この日も左サイドを制圧。武器であるスピード、パワーをフル活用し、何度もアーセナルゴールを脅かした。

 スピードには絶対の自信を持つエクトル・ベジェリンでさえも、リシャルリソンの速さを前にするとうかつにボールを奪いに行くことはできていなかった。

 右サイドをセオ・ウォルコットが突破したシーンを見ても、リシャルリソンは猛スピードでペナルティエリア内へ侵入し、フリーな状態を作っていた。ウォルコットがその位置を確認できておらず、パスが回ってくることはなかったが、もしそこにボールが供給されていれば、確実にゴールへと繋がっていただろう。

 さらに、39分に守備の大黒柱であるソクラティスが負傷。ロブ・ホールディングとの交代を余儀なくされた。アクシデントも重なり、ホームチームの勢いは、完全に無くなっていた。

 前半はエバートンの強度の高さ、リシャルリソンの存在もあり、エバートンがアーセナルを圧倒。シュート数は前者5本、後者は3本に抑えられた。

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