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セリエA 6年前

「いつものC・ロナウド」がナポリを凌駕する。ユーベが手にした大黒柱、見せつけた力の差

text by 神尾光臣 photo by Getty Images

柔と剛を巧みに使い分け…

 まずはユーベがマリオ・マンジュキッチのゴールで同点に持ち込んだ、26分のシーンだ。C・ロナウドは左サイドに流れ、エムレ・ジャンからのミドルパスを呼び込んだ。そこには、ナポリの右サイドバックを務めるエルサイド・ヒサイがカバーに入る。だが相手は、クリアをミスした。

 C・ロナウドはこれを見逃さなかった。ボールを拾うと、まずは右足で中に蹴ろうとするモーションを入れてヒサイをつり出す。そして得意の鋭いフェイントでその逆を突き、左側から縦へと侵入した。

 左足でしか折り返しのボールを出せない状況。通常の右利きの選手であれば精度は期待できないところだが、C・ロナウドはなんと非常に正確で柔らかいキックを左足で放ってきたのだ。もちろんヒサイに仕掛けていた間に、ペナルティエリア内でマークを外してフリーになっていたマンジュキッチのことは確認済み。クロスはぴたりと味方の頭を捉え、ゴールとなった。

 次に49分の逆転ゴールのシーンだが、ここでは相手の隙を捉える強引さが効いた。

 カウンターからパウロ・ディバラが中央を突破。ラウル・アルビオルが奪いにかかり、ボールをこぼしてしまう。C・ロナウドはこれにすぐさま反応した。ディバラと少し重なりながらもボールをキープ、すぐさま前を向いてゴール方向へカットインを図る。アルビオルはすぐに戻ってカリドゥ・クリバリとディフェンスラインを整えていたが、その眼前からシュート。相手が詰めてくる前にシャープな振りから右足で強いシュートを放った。

 これはゴールポストに弾かれるものの、ボールの先にはまたもマンジュキッチがフリーになっていた。C・ロナウドがシュートを放った瞬間に、こぼれ球を予測してしっかりオフサイドラインを越えないよう飛び出した判断力のなせる技だった。もちろんこのタイミングを図るきっかけを与えたのは、シュートを打つという決断を下したC・ロナウドである。

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