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Jリーグ 6年前

“ハマのデ・ブライネ”になった大津祐樹。マリノスでスタイル大改革、絶好調支える妻への感謝

text by 舩木渉 photo by Getty Images

大津が「守備」で躍動

大津祐樹
大津祐樹はインサイドハーフで新境地を開拓。守備面でチームの好調に大きく貢献している【写真:Getty Images】

 そしてマリノスの好調を最も象徴しているのが、大津祐樹だ。加入当初「中途半端な覚悟で移籍はしてきていない。もちろんこのチームを背負っていけるプレーヤーになるつもりでいる」と語っていた背番号9は、いい意味で驚きの変貌を遂げた。

 前線ならどこでもプレーできる器用さもあって、前半戦は1トップやトップ下、ウィングなど起用法も試行錯誤が続いた。どのポジションでも1番手ではなく、ローテーションの中に組み込まれるユーティリティプレーヤーに近い位置づけ。さらに決まりごとの多い戦術の中で、自由奔放なスタイルによって試合中に消えてしまうことも少なくなく、主力定着には至っていなかった。

 ところが9月1日のJ1第25節の柏レイソル戦で、前半途中から4-3-3のインサイドハーフに入ってから全てが好転し始める。チームはそこから公式戦7試合で6勝1敗。唯一敗れた浦和レッズ戦も、内容だけ見れば十分勝利に値するゲームだった。

 特にその浦和戦から、中盤の組み合わせがアンカーに扇原貴宏、インサイドハーフに大津と天野純の3人に固定されてチーム全体の安定感が飛躍的に向上したのである。そこには大津の「守備」における貢献があった。

「元々対人のところは自分の強さであり、売りでもあるので、守備でもまず相手のボールホルダーに対して何もさせない、厳しくマークすることも試合中すごく意識しています。そういったところから攻撃を作らせないことで、自分のところでボールを持たれたり、自分が奪えなくても、次のところでコースを限定できていたり、そういったチームに対してプラスになるような動きができればいい」

 インサイドハーフの大津は「自分としてもスタイルを変えていることは間違いない。今までとは違う形でプレーしている」と断言する。攻撃面に強みのある天野をより高い位置でプレーさせるために、扇原とともに守りのリスクを管理する役割を、「このサッカーをやるにあたって、どうやったら生きるかと考えて一番しっくりきた形」と自ら考え抜いて見つけ出した。

 まさに加入直後に「僕の中で今年、大きなチャレンジをしようという年に決めていた。いま一番体が動く歳でもあるので、もっともっと自分の可能性を広げていきたい」と宣言した通り、有言実行である。

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