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インテル、見せつけられたバルサの完成度。「できるはずのことができなかった」理由とは?

text by 神尾光臣 photo by Getty Images

カウンターに持ち込むというプラン

「できるはずのことができなかった」とスパレッティ監督は嘆いた。ボールポゼッションは63%に対し37%、シュート数は21本に対し10本、成功したパス数は2倍以上の差を付けられている。もっとも、インテルがやり込められたのは単純な支配率によってではない。ポゼッションを得意とするバルサに持たせ、カウンターに持ち込むというプランはあったであろうことも数字からは伺える。

 問題は、相手がそのカウンターを許さなかったということだ。高い位置からの組織守備と素早い攻守の切り替えによって、インテルはボールを繋げさせてもらえなかったのである。

 ポイントは、インテルの選手たちがボールを奪取した後にあった。サイドに回して組みたてようとすると、即座にプレスをかけてパスコースを封じてきたのだ。試合開始こそイバン・ペリシッチが裏に走って攻撃を仕掛けたシーンはあったが、あとは相手のSBとインサイドMFにすぐさま挟み撃ちにされる。他の部分に逃がそうとしても周りにはきっちり人がつけられている。そして縦に通そうとすれば、当然セルヒオ・ブスケッツやジェラール・ピケのインターセプトに遭う。

 プレスにはまだ続きがある。ボールを持つ選手と、パスの的となる選手を細かく塞いだ結果、バルセロナはボールの近くに4人の選手を密集させている状態になる。そして一人がボール奪取に成功すると、周りの選手は細かく動いてパスコースの捻出に入るのだ。一人ひとりは足を止めずにスペースに動き、三角形やひし形の間隔で間合いを作る。こうしてショートパスの選択肢を増やし、パスを次々と交換するのである。バルサのパスワークは個々の技術のみならず、こうした戦術的な連動に裏打ちされたものだ。

 このリズムに、インテルは時間の経過とともについていけなくなった。パスをつなごうにもプレスに遮断され、ボールの再奪取を計るにも後手に回る。そして拡がった守備の網を個人技でかわされ、さらにミドルパスを使って大きく揺さぶられる。こうして仕留められたのが、32分の1失点目だった。

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