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ユベントスが露呈した甘さと脆さ。「引き分けが妥当だった」試合を落とした、その理由とは

text by 神尾光臣 photo by Getty Images

マンU相手に機能した戦術

 故障者が続出していたユーベは、メンバーを少し変えていた。ロシアワールドカップ(W杯)終了からあまり休みなくチームに合流し疲労が蓄積していたブレーズ・マテュイディに、筋肉の違和感を訴えていたジョアン・カンセロの先発起用を回避。故障から上がったばかりのマリオ・マンジュキッチの起用も避けた。前線はクリスティアーノ・ロナウドとパウロ・ディバラを置き、右アウトサイドにファン・クアドラードを起用。守備時には4-4-2のシステムに変形してバランスを取る戦術を取った。

 そしてこれは、カウンター狙いを決めこんでいたマンチェスター・U相手に機能した。コンパクトな守備ブロックをゴール前で作ろうとする相手に対し、前線を捕まえさせない戦術を取った。C・ロナウドはサイドに思い切って開き、ディバラもやや下がり目の位置から攻撃を伺う。サイドで攻撃の起点を作り、前線には中盤の選手を飛び込ませる。こうして相手のディフェンスラインを強引に押し下げ、空いた2列目のスペースを攻撃に活用する算段だ。

 35分の決定機は、そんな戦術がきれいにハマったシーンの一つだ。右からの展開に合わせ、C・ロナウドが相手のセンターバックとサイドバックの間のスペースへと走り込む。そしてクロス。サイドを使って相手の布陣を横に広げ、縦を使って相手を押し下げた結果、人を密集させていたはずのマンチェスター・Uゴール前がガラガラになる。フリーになったサミ・ケディラがシュート、しかし不運にもポストに弾かれた。

 相手の最終ラインも粘って得点が奪えない状態が続くが、ユーベは攻撃のペースを握って前後左右に揺さぶりをかける。ボールを奪われた後のカウンターに対しても、注意深く対処。スピードのある攻撃陣を前にしても素早い帰陣を保ち、シュートを打たせる前にピンチを防ぐことができていた。

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