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セリエA 5年前

やはりC・ロナウド。ユベントスが強力である理由。ミランを葬った「マンU戦の教訓」

text by 神尾光臣 photo by Getty Images

先制点を生み出したC・ロナウドの“前フリ”

 これは、クリスティアーノ・ロナウドの仕掛けという“前フリ”が元になってできたチャンスであった。左サイドに流れて縦パスを受けると、2人マークが着こうが御構い無しに突破を仕掛けた。そこに左のインサイドMFブレーズ・マテュイディも絡んでくるため、対面のミラン右サイドは彼らに引き付けられた。アレックス・サンドロは、そうやって自らがフリーになったところを見逃さなかったということだ。

 もちろん前線には、パワープレーからプレスまで対応してくれるマンジュキッチがいる。右に開いてDF陣の視野から逃れると、逆サイドからのクロスに詰めるリカルド・ロドリゲスの背後からダッシュをかけ前に出て、ヘディングシュートをねじ込んだ。

 この後試合の展開は落ち着くが、その一方で守備陣は集中を切らさない。古巣との対決に燃えるゴンサロ・イグアインを軸に縦への攻撃を仕掛けるミランに対し、エリア内への侵入は許さない。ボールを奪われて速攻を食らっても、守りに戻るスピードはそれ以上に速く、あっという間に守備ブロックの整頓が完了。ボールの再奪取に成功していた。

 ユベントスが前半で唯一与えた決定機が、イグアインのPKだ。ただゴールマウスにいたのは、7月までチームメイトだったヴォイチェフ・シュチェスニー。「運が良かったと思っているが、クセは知っていた」という彼は迷わず右下へ飛び、イグアインのシュートに触った。

 リードを守ることに成功したユーベは、後半も試合の流れを適切にマネジメントした。組織守備には乱れがない。ミランのDFがボールをキープすれば、前線のC・ロナウドやマンジュキッチ、そしてパウロ・ディバラが「押し上げろ」と後方に手で指示を出す。こうして中盤は位置を詰め、最終ラインは押し上げを図る。間延びしたり、前線と守備陣で意図がバラバラになったりといった様子は見受けられなかった。

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