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代表 5年前

ベネズエラ代表は森保Jの“先輩”!? 兼任監督だからこそのチーム作り、家族的一体感の秘訣

text by 舩木渉 photo by Getty Images, Wataru Funaki

世代間の融合は日本以上に進む

 中にはファリニェスやY・エレーラのようにドゥダメル監督に見出され、18歳の頃からA代表に継続して招集されている選手もおり、世代間の融合はすでに十分といっていいほど進んでいる。ドゥダメル監督は「できるだけ多くの選手たちにA代表の考えというものを伝える、そういった時期にある」と述べていたが、すでに日本代表よりも組織的に完成されたチームであるのは間違いないだろう。

 ロシアワールドカップ後の成績は2勝2敗。9月のコロンビア戦は1-2で敗戦、日本が3-0で破ったパナマには2-0で勝利を収めた。10月はバスク代表に2-4で敗れたものの、UAE代表には2-0で勝利している。2敗こそしているものの、フルメンバーのコロンビアにも、スペイン1部リーグの主力級を揃えたバスク代表にも善戦した。

 そして今回、ドゥダメル監督はこれまで以上に経験の少ないメンバーを日本に連れてきた。トマス・リンコンやサロモン・ロンドンら一部の柱になる選手たち以外、多くをA代表キャップ数が一桁の選手が占める。そこからはまさに来年のコパ・アメリカや4年後のカタールワールドカップに向けた南米予選を意識したチーム作りの一環として重要視しているアジア遠征だということがわかる。

 キャプテンのリンコンは「より経験のあるベテラン選手たちが今、若手選手たちに伝えようとしているのは、(A代表は)非常に競争レベルが高いということ。南米予選は世界でも名だたる強豪国と戦う場なので、非常に難しい。(勝つためには)才能だけでは十分ではなく、高いレベルで戦うということがいかに重要かということを自分たちの経験を通して彼らに伝えている」と述べ、若手たちの台頭に期待を寄せていた。日本戦もベテランと若手が同時に起用されて貴重なアウェイでの経験を積む場だ。

 ベネズエラ代表のシステムは4-4-2が基本で、コンパクトなブロックを敷いて守りつつ、攻撃時はサイドに両ウィングが張り出して最前線のロンドンにボールを集めていく。大柄で身体能力に優れた選手が多いことでフィジカル的側面に注目が集まりがちだが、ドゥダメル監督はビルドアップの過程で最終ラインから丁寧にボールを運ぶことも意識させている。

 両センターバックを起点にリンコンや相方のボランチが顔を出しながらボールを引き出し、突破力のあるウィングに展開してロンドンめがけてクロスを供給するのが1つの攻撃パターンだ。2トップの一角、セカンドトップ的にロムロ・オテーロが入る場合は強烈なセットプレーや意外性のあるチャンスメイクも攻撃の選択肢に入ってくる。

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