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代表 5年前

ベネズエラ代表は森保Jの“先輩”!? 兼任監督だからこそのチーム作り、家族的一体感の秘訣

text by 舩木渉 photo by Getty Images, Wataru Funaki

ベネズエラ代表は森保ジャパンのモデルケースになるか

ドゥダメル
ベネズエラ代表のラファエル・ドゥダメル監督(右)と、U-17代表時代から師弟関係を結ぶジャンヘル・エレーラ(左)【写真:舩木渉】

 今のベネズエラ代表は伝統だった4-4-2をベースに、相手の戦い方に応じて攻撃時に4-1-4-1的な布陣に変化するケースや、4-2-3-1に近い形で戦うこともある。「相手のポジショニングであったり、戦い方に応じて最適な戦術を選択できるのがベネズエラの強み」とドゥダメル監督は語ったが、若い頃から知り尽くした選手たちを起用でき、組織がある程度完成されているからこその戦い方だろう。

 もう1つ、昨年のU-20ワールドカップでベネズエラ代表のいくつかの試合を見て印象的だったのは、戦術的に統制がとれているだけでなく、温かな一体感があることだった。当時ドゥダメル監督は「全員がそれぞれの役割を理解して、選手自身が代表チームに重要な一員であると感じられることが重要」と述べるとともに、「全ての勝利を毎回家族のように喜べていた」と団結力の強さを実感しているようだった。

 選手たちも同様。今回の日本戦にも帯同しているコルドバは「ピッチ内外において家族のような関係、それこそが団結の理由。どこにいても家族でいる」と一体感の秘訣を語っていたし、Y・エレーラも「個性豊かな選手たち、それぞれがチームの力になれることを理解している。だからこそ全員が他の選手のためにも力を尽くそうとするし、チームとして最高の形になる」と自己犠牲の精神を説いていた。15日の前日練習後もロッカールームから爆音のクラブミュージックが漏れてきて、いかにも南米のチームという明るい雰囲気。取材エリアに現れた選手たちは年齢に関係なく和気藹々としていた。

 ドゥダメル監督が世代間の「融合」を進める上で、A代表でも同じようなチーム作りをしていれば、ベネズエラの組織力は侮れない。個の不足をチームで補う、日本が「日本らしさ」として武器にしているのと同じような戦い方でぶつかってくるだろう。

 ベネズエラのチーム作りは、森保監督がA代表とU-21代表の「兼任監督」を続ける上でモデルケースになりうる。ウルグアイほどの個々のタレント力はないが、組織力で強敵に立ち向かおうとする戦い方も日本に似ている。今回のベネズエラ戦は森保ジャパンの今後を予想するうえでも、貴重な機会になるかもしれない。

(取材・文:舩木渉)

【了】

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