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ついに現れた世界で通用するCB・冨安健洋。疑いなきその実力、唯一の修正点はヘアバンド

text by 編集部

冨安健洋
ベネズエラ戦でフル出場を果たした冨安健洋。ヘアバンドは封印すべきだ…【写真:Getty Images】

【日本 1-1 ベネズエラ キリンチャレンジカップ2018】

 日本代表は16日、キリンチャレンジカップ2018でベネズエラ代表と対戦し、1-1と引き分けた。

 攻撃陣が何度かチャンスを迎えながらも決め切れず、ドローに終わったこの一戦。しかし、それと同時に守備陣の奮闘が目立った試合でもあった。特に、CBの一角として先発出場を果たした冨安健洋の働きはこの日も目を見張るものがあったと言えるだろう。

 11分には、サロモン・ロンドンのシュートをゴール手前で身体を張ってクリア。失点のピンチを防ぐと、以降もフィジカルの強さが際立つベネズエラ攻撃陣をシャットアウトし続け、粘り強く守った。結果的にトマス・リンコンにPKを決められ、クリーンシート達成はならなかったが、安定感と高い集中力を保った冨安の出来は決して悪くなかったと言えるだろう。

 冨安の才能は、幼き頃から健在だった。中学生からアビスパ福岡の下部組織に所属し、高校2年時には2種登録されるなど、早くもその実力を示した。その翌年には高校を卒業していないにも関わらず、正式にトップチーム昇格を果たす。その年にチームはJ2降格の憂き目に遭ったが、冨安はすでにレギュラーの座を掴み始めていた。2017年には19歳ながら35試合に出場し、守備陣をけん引。Jリーグを代表するDFへの階段を着実に上り始めていたのだ。

 そして2018年1月、冨安は大きな決断を下した。それが、海外への挑戦。新天地に選んだのは、ベルギー1部リーグに所属するシント=トロイデンだった。移籍から間もなくは怪我などにより出場機会は限られたが、今季は開幕からスタメンを張り続け、リーグ戦では全試合フル出場を果たしている。マルク・ブライス監督から絶大な信頼を得ていることは間違いなく、今後もシント=トロイデンの守備陣をこの日本人DFがリードすることになるだろう。

 これまでの日本代表、いや、今の日本代表にも、海外でプレーしている日本人CBは少ない。吉田麻也こそイングランド・プレミアリーグのサウサンプトンでプレーしているが、11月シリーズの日本代表メンバーに選出されている槙野智章や三浦弦太はJリーグ組。今回は招集が見送られているが、ロシアワールドカップを戦った昌子源などもJリーグでプレーする選手だ。

 もちろん、JリーグでプレーするCBでも、世界で通用する選手はいるだろう。だが、日々屈強な選手とマッチアップできる海外リーグの方が、レベルアップへの近道となることは間違いない。そういった舞台に20歳という若さで挑んでいる冨安。今後、同選手は日本代表とともに成長していくことだろう。ついに、日本に世界で通用するCBが現れたと言っても過言ではない。相棒となるであろう吉田との連係面をさらに向上させれば、日本は今までよりも屈強なディフェンスラインを築くことが可能なはずだ。

 唯一の修正点は、髪型だ。ベネズエラ戦ではヘアバンドを付け出場していたが、あまりにも変というべきか、不自然だった感は否めない。確かに、前髪が目に入ってしまうのはプレーの妨げになる。しかし、冨安はヘアバンドを付けるよりも、前髪を切ってしまうのがベストだ。ヘアバンドは封印したほうが良いだろう。

【了】

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