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日本代表 5年前

柴崎岳と遠藤航は森保Jの心臓になるか。役割を明確化しない同期コンビの発展性

text by 河治良幸 photo by Getty Images

90分間途切れることのないお互いの気遣い

 しかし、徐々に試合にアジャストすると、下がり目の組み立てから大迫勇也のポストを起点に2列目の3人を近い位置でサポートし、起点のパスからタイミングを見て追い越すプレーも度々見せた。

「今日の試合に関してはそういった飛び出しというのは久しぶりに出せたかな。走り込めたかなというのは、(遠藤)航がバランスとってくれたので、そこは僕自身もチャンスを作り出したいと思ってましたしね。2列目の選手たちだけじゃなくて、そういったチャンスメイクもできたらと思っていました」

 柴崎がそう振り返る象徴的なシーンが51分にあった。左サイドで佐々木翔とのパス交換から中島翔哉が仕掛けるが、ベネズエラのディフェンスに囲まれカットされてしまう。しかし、ルーズボールを素早く拾った柴崎が大迫に預け、そのまま右斜めのスペースに飛び出して、堂安律の外側から追い越し右足のシュートに持ち込んだ。

 シュートは惜しくもGKラファエル・ロモのセーブに阻まれたが、ピンチになりかけたところからチャンスに転じたシーンだった。柴崎が中盤でボールを拾った時に実は遠藤の方が前にいたのだが、柴崎の動きを見てすっと引き、バランスを取るポジショニングに徹したことで、柴崎が思い切り攻撃参加できる状況を提供していた。

「お互いがどこにいるかは常に見ているし。攻撃でも1人が落ちたら1人が高い位置を取るとか、シンプルですけど常にお互いを見ながらポジションも入れ替えてやれていると思うので。そこは続けていけばいいし、どっちが攻撃、守備というのはあまり決めずに、お互い出ていければ出ていく」

 そう振り返る遠藤は柴崎とバランスを取りながら、柴崎より前に出て相手のアンカー脇のスペースに顔を出して中島や南野拓実と絡むなど、流れの中で柔軟に関わっていた。

「岳もボールを持てば技術があって、縦にパスをつけるところがある。もちろん前に出ていくこともあるけど、後ろに落ちて試合を作っていくというのも彼の特徴だと思う。僕も守備的な選手ですけど、ボールをできるだけ高い位置で受けてターンして前につけるとか、そういうのはやれていると思う」

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