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Jリーグ 5年前

ストイコビッチにイエローカードを出された審判 -小幡真一郎インタビュー-

text by 玉利剛一 photo by Koichi Tamari

「審判は孤独」

-家本政明さんが著書「主審告白」で判定としては間違っていないが、同じようにマネジメントの部分を問題視されて処分された際の心境として“孤独感”を書かれていました。何かあった時、審判は誰に守られるんでしょうか?

「審判は孤独ですよ。トレーニングもゲーム中も。ほとんどの審判がそう言うんじゃないですか。だから審判同士で励ましあうことが大切。審判はチームですから。あとは家族には本当に支えられています。Jリーグアウォーズは家族同伴で行くのですが、会場では審判の嫁同士で夫が審判をやっている苦労話で「うちと一緒だねー」って盛り上がったりするみたいです(笑)」

-審判って損な役回りだと思います。ストイコビッチの例は特殊にせよ、TV中継などを見ていても明らかに選手が審判に暴言を吐いているように見えるシーンが多々あります。あれはどういうことを言われているんですか?

「よく言われたのは「俺達はプロ。お前たちアマチュアと違ってこっちは生活がかかっている」といった趣旨のことですね。Jリーグが開幕して逆に(日本リーグ時代と比べて選手達との間に)溝ができた気がします」

-そういう暴言って我慢できるものなのですか?

「試合中は選手も興奮状態ですし仕方ないと割り切ってます。けど、教師の仕事で教えている学生とあまり変わらないくらいの年齢の子に「下手くそ」とか「どこ見てんねん」とか言われるのは辛かったですね(笑)」

-もはや言い返してもいいのではないかという気もしますが。

「言い返す訳ではないですが、選手とのコミュニケーションは必要です。「今のアドバンテージ取った方が良かった?」とか。ただし、取りすぎはダメ。判定の長い説明はしない。大切なのは選手を理解しようとする気持ちですよ。若い時は自分の理想を重視しちゃいがちですけど、そうなると本質がみえなくなる。あるいは、遊びの部分がなくなる。その状態だと選手に突っ込まれるとテンパっちゃう」

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