フットボールチャンネル

Jリーグ 5年前

「何十年とミシャ監督がいるわけじゃない」。札幌・野々村社長が語る次世代へのクラブ運営【インタビュー】

text by 植田路生 photo by Getty Images

クラブのDNAや哲学の重要性

ミハイロ・ペトロヴィッチ
北海道コンサドーレ札幌を率いるミハイロ・ペトロヴィッチ監督【写真:Getty Images】

── それは指導者含めて環境面でかなり変わらないといけないですね。

「その通り。Jリーグでよく見られるのは、センターバックの能力のなさを中盤やフォワードの守備力によって補うサッカー。コンサドーレが対戦した中でも、前の人の力を借りなくて自分の能力だけで守り切れるようなセンターバックは少ないし、そういう選手が出てくるような環境には今ない。1人の選手の能力が上がる環境は、現状のままだとかなり難しい」

── そういう環境整備という面でもミシャ監督の招聘は効果があると思います。

「ミシャ監督で今よりずっと順位が下でもまったく問題ないと思っている。ああいうサッカーをトライした方がいいと思っていた」

── クラブとしてのDNAや哲学は残りますね。

「それは至上命令。残していかなきゃいけない。ああいうサッカーを続けていけるような発想の指導者を、どんどん育てていくようにしないと成長していけない」

── 次世代へ向かって車輪を回転させていかないといけないですよね。

「そうそう。何十年とミシャ監督がいるわけじゃない。サイクルをどんどん回していい循環を生み出していく。そうやってスピードアップしないとヨーロッパには追いつけない」

▽野々村芳和(ののむら・よしかづ)

1972年生まれ。株式会社コンサドーレ(北海道コンサドーレ札幌の運営会社)代表取締役社長。慶應義塾大学卒業後の1995年にジェフユナイテッド市原でプロデビュー、2000年にコンサドーレ札幌へ移籍。TV番組「Jリーグラボ」などでの歯に衣着せぬ発言はサッカーファンの間でも話題。

(取材・文:植田路生)

【了】

20181030_cover_kanzen

『フットボール批評issue22』

定価:本体1500円+税

今号のフットボール批評では、戦術と近未来を総力特集。ポゼッションvsカウンターという二極対立の構図が終わり、いま世界の最前線で何が起きているのか?
本誌ならではの視点で、世界トップシーンにおける「戦い方」の変革に迫ります。

【巻頭特別対談】
岡田武史×小野剛 いま明かす日本代表激闘の舞台裏

【特集Ⅰ】
その戦術はもう死んでいる? フットボールの「戦い方改革」最前線
◎≪近未来のフットボール≫新しい戦術は生まれるのか? 西部謙司
◎≪新しい戦術の教科書≫解題:欧州トップシーンにおける3バック活用法 坪井健太郎&小澤一郎
◎≪最先端戦術の旗手≫サッリ戦術の革新を追う 内藤秀明
◎≪守備戦術 解体新書≫なぜ4-4-2は主流であり続けるのか? 岩政大樹
◎≪戦術ルネッサンス≫最先端の戦術は既存戦術の焼き直しに過ぎない

【特集Ⅱ】
Jリーグのパラダイムシフト いま何が起きているか?
◎10年後のJリーグと北海道コンサドーレ札幌 野々村芳和社長インタビュー
◎高き理想を掲げるヴィッセル神戸と横浜F・マリノスの未来
◎町田ゼルビアの近未来 唐井直GMインタビュー
◎サガン鳥栖の未来は明るいか?
◎地方クラブの新しい近未来像 ツェーゲン金沢はなぜ面白い?

◎サッカー界の両利き幻想を斬る 加部究
◎オリンピック物語 大橋裕之
◎スポーツ文化異論 武田砂鉄

詳細はこちらから

1 2 3

KANZENからのお知らせ

scroll top